「広い世界を見るのだ」~「脱」の時代の言葉として

平成12年ですからだいぶ前になりますが、作家・金城一紀直木賞を受賞した小説「GO」、そしてそれを行定勲が同名タイトルで映画化した作品の中で語られる有名なセリフです。心地よい響きがあり、ときどき思い出しては前進感をもらう言葉です。
作品の中では「気がついたら在日朝鮮人」だった主人公が、選択しようのない環境の中でただ生きるだけのひねくれた悪ガキに育つ。
オヤジに反抗して韓国籍に変えることを拒否するも、そのオヤジに「広い世界を見ろ。後は自分で考えろ」と言われて、目が覚める。
在日朝鮮人」から「在日韓国人」になることでは何も変わらなかったが、日本の高校に行くことで、無数の選択肢を獲得し、広い世界を見ようと決心する。
そのような文脈の中でこの言葉、「広い世界をみるんだ(見るのだ)」は語られます。
もちろんこの言葉は、「在日」という狭く、古く、凝り固まった社会を脱して広い世界を見ようとする主人公の言葉ですが、より普遍的、本質的な力を持っているように思います。それは、古い社会に対する「反」の力ではなく、むしろ古くさい社会からの「脱」の力を言葉化したものであり、だからこそ「反」(アンチ)の言葉が力を失った現代において力を持つのではないでしょうか。
参照:
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・「金城一紀」(教育の職人)
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窪塚洋介主演映画「GO」の凄さとは!あらすじや演技、在日問題
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竹村誠一