イノベーションは情熱を持った「脱藩教育者」が起こす! 教育行政を変えるよりも、新しい教育環境を生み出すチカラを②~企業や社会人が教育に関われる仕組みを作る

○ 企業や社会人が
  教育に関われる仕組みを作る
 教育格差をなくし、教育環境をよくするためにはまずは制度の弾力的な運用も必要だと松田氏は言う。教育現場にとっては大幅な変化への対応は大変なことなので、行政には現場に根ざした制度設計が求められる。教員養成の課程でも、現場経験のある教授が増えてくると学問と現場の知識が融合でき、大きなシナジーが期待できるだろう。また、現場で頑張っている先生たちと社会をつなぐ役割を果たす機能も必要だ。
 また、いったん社会に出て教育の重要性に気づいた人が、仕事をしながら教員免除を取れるような仕組みも必要だと松田氏は指摘する。
 つまり、さまざまな意味で日本の教育は開かれるべきなのだろう。何事も開かれてなければ進化はない。閉鎖性は生産性を殺ぐ。教育も同様だ。 TFJの仕組みは優秀な若者が教育現場に関わる機会を開放してくれる。さらに、松田氏が構想するような制度が実現すれば、企業や企業人が子供たちの教育と関係性を持つことができる。日本の教育を殺したのは有権者だと指摘したが、若者や企業の教育の場への参加は、日本国民の教育への意識も変え、教育そのものも変えてくれるだろう。
○ 幼児教育の現場で感じた
 「子どもたちの未来」への不安
 保育士の立場から新しい「教育」を生み出そうとしている女性もいる。4月から、日本初のフリーランス保育士として活動する小竹めぐみさんだ。保育専門大学を卒業後、幼稚園、認可こども園保育所及び幼稚園等における小学校就学前の子どもに対する保育及び教育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を行う施設)、保育園で約6年間働いた経験をもつ。
 教育業界では仕事以外のことをやってはいけない、社会に出て活動することはいけない、という風潮があるというが、小竹さんは23歳から自主的に講演活動も行なってきた。視点を変えれば人生は楽しくなる、などといった自分なりのメッセージを伝えるためだ。
 22歳からは、仕事を辞め、「ひとりうるるん」と題して世界中をバックパッカーとして回った。さまざまな国で家族のあり方を学んだ。アマゾンでは命の音に囲まれる体験をした。その時感じたのは「人間も自然の一部、しかしナチュラルに生きているのか?」「子どもたちはもともと、生きる姿を持っている。それがなぜ、失われてしまうのか?」ということ。
 仕事を辞めた理由は、卒園していく子どもたちの未来に対する不安だ。自分は子どもたちの個性を伸ばす教育をしてきたつもりだ。しかし、「卒園してこれから小学校、中学、高校、大学と進む中でこの子達はどうなっていくのだろう?」「個性を失ってしまったらどうしよう?」という不安が次第に浮かび始めた。自分は日本の教育全般をまったく信頼していないことに気付いた。それで仕事を辞めた。
 その後は、こども園で働いたり、絵を教えたり、セラピストとして生活費を稼ぎながら、絵本の朗読会を始めた。カードセラピストとしての活動も行なった。保育という仕事に戻るつもりはなかった。しかし、1人で講演活動や朗読会を重ねていても限界がある。そこで、企業を辞めて保育士になっていた小笠原舞さんと一緒に、「オトナノセナカ」を作った。



津田大照