フィンランド 教育の評判について大使館が否定

今年から10年に1度のカリキュラム改正が実施されることもあって、国内外で注目を集めている。日本でもプログラミング教育が導入されることなどは報道されているが、欧米では「科目別教育が全廃」など誤報が続き、混乱が見られる。駐日フィンランド大使館では、フィンランド外務省が作成した記事をもとに、新年度から始まった新しいカリキュラムのQ&Aを作成した。
■質問1:フィンランドの学校では、科目がすべて取り払われ、テーマ別(phenomenon-based learning)の教育が行われるというのは本当ですか。
テーマ別授業が学習法のひとつとしてあるのは事実ですが、算数や歴史、音楽といった科目が消えるわけではありません。新カリキュラムでは、複数の教科にまたがった横断的な教育を行う時間を最低でも1回設けることを義務付けています。「地球温暖化」や「欧州連合」といったテーマを、数週間にわたるひとつのプロジェクトとして学ぶことになります。
■質問2:教室という物理的な枠まで取り払われると聞いたのですが・・・。
教室のなかだけで教育が行われるわけではありません。教室外でどのような教育が行われるかは、学校や教師に委ねられています。「教育学的な方法は変わりました。生徒はもう同じ場所にずっと静かに座っている必要はなくなり、どこでどのように学びたいか自分たちで選べるようになります」と、フィンランド国家教育委員会で基礎教育課を率いるアンネリ・ラウティアイネンは言います。「新設の学校には廊下がないところもあります。将来は、囲われた教室という空間自体、必ずしも必要ないのかもしれません。学びはあらゆる場所にあるのですから」
■質問3:生徒自身が学習の目標を設定すると聞きました。能力のある子どもが楽をするために低い目標を掲げ、結果的に可能性の芽を摘むことにはなりませんか。
そんなことはありません。新カリキュラムには学習目標や、高い能力を測る基準が明確に記載されています。教師も各生徒と話し合い、目標をどこにするのか一緒に決めます。「今までの問題のひとつは、生徒がなぜ特定の成績をつけられたのか必ずしも理解していない点にありました。生徒を積極的に話し合いに巻き込むことによって、彼らのモチベーションを上げられます」と、ラウティアイネンは説明します。
質問4:暗記による教育の重要性はないがしろにされるのでしょうか。
もちろん、なかには九九など暗記が必要な学習もあります。「新カリキュラムでは、教師がいったことをオウム返しにするよりも、批判的に考えたり、学習方法を学んだり、新技術を使いこなすといった将来に必要なスキルを育てることに焦点を当てています」と、ラウティアイネンは言います。「世界は常に変わっています。それに合わせて学校や学習法も変わらなくてはなりません」
■質問5:新カリキュラムでは、有効だった古い学習法までも放棄するのでしょうか。
フィンランドの学校が他国と違う大きな点は、自治体や学校、教師が、生徒が何をどうやって学ぶのか決められるということです」と説明するのは、フィンランド教育の専門家で、現在はハーバード大学教育学大学院で客員教授を務めるパシ・サルベリ。教え方の決定権は現場にあり、生徒たちにとって何がベストかはそれぞれが判断できることになっています。「どうやら世界中の人々は、フィンランド社会主義国家で、ヘルシンキの実力者がトップダウンですべてを決めていると勘違いしているようですね」と、サルベリは笑います。
■質問6:宿題はまったく出ないのですか。
いいえ、宿題はあります。フィンランドは他国に比べると学習時間が少ないので、家庭での復習も少しはあったほうがよいと考えています。
■質問7:小テストや試験もないと聞いたのですが。
いいえ、テストをやることはあります。ただしテストの結果だけが、成績表に反映されるわけではありません。生徒の評価は継続的に行い、子どもたちを的確に導き支援します。「テストは学習の一部分であり、その要ではありません。プロジェクトを実行させたり、人前でプレゼンテーションを行うことによって、学習の成果を発表できます。試験に落ちても、再試験に向けて勉強し直す間にいろいろ学べることもあります」と、ラウティアイネンは言います。
(後略)
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