学校教師に大量の宿題を出す権限が、果たしてあるのか?

最近学校の宿題量が急激に増えていると言う。しかも内容が、「中1、2年の理科の教科書をまる写しする」「数学で間違った問題の答えのみを5回書く(途中計算は書かない)」など内容も首をかしげざるを得ないものが多い。
思えば自分が子どもの頃は夏休みの日記や、工作などを除いて殆ど宿題などなかったように思う。そもそも公務員である学校の先生が、民間人である児童生徒に、大量の宿題(しかも苦役としか思えない中身)を出す権限など本当にあるのだろうか?気になって調べてみた。
まず学校の先生は、地方公務員なので地方公務員法に従うことになる。地方公務員法によれば、その職業上の権限は法令で定められた範囲によるとされている。
ところが教員に関わる法律には「教育基本法」「学校教育法」「教育公務員特例法」などがあるが、そのどこを見ても「宿題」に関する条文はない。つまり法令には宿題に関する権限は定められていない。
では法令ではないが、教員の職務規定でもある文科省の「指導要領」を見てみた。
指導要領は、教科指導内容はもとより、生徒会活動、部活動、学校行事など課外活動についても詳細に定められているが、同じく宿題についての記載はない。
つまり法律、指導要領ともに宿題を出すことについての権限の定めはないのである。
そこで、改めて、宿題に関連する記載がないかを探してみると「指導要領」の1章総則に『家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。』とある。これが宿題を出せる根拠だと取れないこともない。どうやら学校はこの項目を適用して慣行化してきたらしい。
しかし他方で指導要領の同じ項目に『課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。』とある。しかも教育基本法には『学校教育法には教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。』とある。宿題そのものに関する権限は仮にさておいたとしても、「大量の宿題」を「強制」することは明らかにこの条文に反する。
更に言えば、強制的な宿題によって、学校外での活動を時間的に圧迫し、妨げることは、憲法の言う生活権、学習権(主体的な追求はもとより、習い事も含めて)の侵害である疑いが強いと思う。
大量の宿題は教師による越権行為だ。違法性という観点からも極めてグレー、しかも限りなく黒に近い。
ちなみにロシアやフランスで法律で宿題は禁止されている。スウェーデンでも宿題禁止の法案が国会をまもなく通過するという。
この点でも日本は強制禁止の世界の潮流に明らかに反している。



北村浩司