書籍紹介『科学が教える、子育て成功への道』 その2~「教える」のではなく、自分の子供と「面白がって一緒に遊ぶ」ことが親の役目

「その1/学校現場は100年前からほとんど変わっていない」の続きです。
そして、学習科学の実験研究をもとにつくれた新しい教育指標のモデル【6Cs】を提示する。6つのCとは、、
  ・collaboration(共同作業)
  ・communication(コミュニケーション)
  ・content(内容)
  ・critical thinking(批判的思考)
  ・creative innovation(クリエイティブなイノベーション)
  ・confidence(確信)」
もっとも重要になるのは「collaboration(共同作業)」。『自分の子供に「教える」のではなく、自分の子供と「面白がって一緒に遊ぶ」ということ。それが子供の教育に関わるということなのである』と示す。
以下、『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表(リンク)より一部抜粋
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学校が変われないのであれば、家庭がという話であるが、保護者は誰よりも子供の点数と進学先に気をもんでいる。学習科学の成果から、人生の成功を決めるのは、数学や読解、プログラミングなどのハードスキルより、コラボレーションや感情の調整などのソフトスキルであることが明らかになっているにも関わらずだ。ハードスキルの測定が可能で時系列で伸長がわかりやすく、長年の慣習から過去とも比較可能で親の気持ちを安心させる。ソフトスキルは可視化と測定の難しさを徐々に克服しつつあるが、親の心を捉えきれてはいない。
そして、子どもたちはテスト漬けにされて、古い基準と知識の暗記に縛られている。また、エデュテイメント(EducationとEntertainmentを組み合わせた造語)の掛け声のもとに、教育玩具が大量に製造され、2009年には「教育玩具」の売上だけで、それ以外の、これまで売られてきた普通のおもちゃ全体の販売額を超えた。教育市場は、これまでの教育の価値観に凝り固まった人達が支配し、保護者の不安を煽りながら、本質からずれた製品やサービスを提供している。
学習科学で明らかになったにもかかわらず、ソフトスキルの重要性が浸透しないのか。根本的な理由は、体系だった評価システムがないことである。これまでにも、21世紀スキルなどの必要な力の定義は様々な組織が行ってきた。しかし、最新のトレンドとして一時的に流行して消え去っていった。
そこで、著者らが学習科学の実験研究をもとに提示したモデルが6Csである。コラボレーション、コミュニケーション、コンテンツ、クリティカル・シンキング、クリエイティブイノベーション、コンフィデンスの6つのCである。個別の要素は聞き慣れたもので、とくに目新しいものはない。
これまでと違う点は、学ぶことで伸ばすことができること、学校内外で用いることができるスキルであること、そして一番の違いはそれぞれのスキルのレベルと同士の関係性を明らかにし、学びの全体像を明らかにしたことである。
一つひとつの段階に科学的なエビデンスがあり、次の段階へ進むための具体的な学びの打ち手がある。また、この表の優れた点は、対象は幼児から大人までと幅広く、家庭、学校、放課後、職場のどんな場面にでも活用することができることだ。つまり、赤ちゃんの発達過程であり、子どもが新しいことを学んでいくプロセスであり、大人が未知の分野に取り組む方法である。
いっぽうで成長は左から右へ、下から上へ直線的には実現しない。螺旋を描くように伸びてゆく。そして、この6つをバランスよく発達させるのには、遊び(Play)が欠かせない。遊びと学びを一体化させ、プレイフルな学びの場と子育てを実現してきた著者らの取り組みは、どれもが実践的であり、すぐに参考にできる。
子育ての場面で何を選び、何を選ばないかで悪戦苦闘する家族、理想と現実の間でぐしゃぐしゃにされ現場で葛藤する教員、そして、溢れる情報に踊らされ、不透明な社会をさまよう大学生や若手社会人、その誰にでも、明確な指針を指し示してくれるおすすめ本である。まずは、親として、市民として、自分が今どこの段階にいるか、成績表として活用してみてはいかがだろう。
“自分の子供に「教える」のではなく、自分の子供と「面白がって一緒に遊ぶ」ということ。それが子供の教育に関わるということなのである ”
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斎藤幸雄