書籍紹介『科学が教える、子育て成功への道』 その1/学校現場は100年前からほとんど変わっていない

子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を体系化した書籍。
著者たちは、『これだけ「教育改革」が叫ばれ、大規模に実行してきたはずなのに、化石のように変わらない場所が近代の学校なのだ。』と現代の学校教育制度の問題を指摘する。
アメリカの書籍ですが、教育制度を取り巻く状況は日本と同じようです。
以下、『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表(リンク)より一部抜粋
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「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。
世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策は美辞麗句が並ぶ。いっぽうで、現場は抽象的な内容を具体的な授業やカリキュラムに落とし込むことができず、実現は道半ばどころか、混乱したまま、ままならない状況にある。
その中で、アメリカにおける教育改革暗黒史のはじまりはスプトニーク・ショックだった。国家防衛教育法が議会を通過し、数学と科学の教育が強化された。これは現在のSTEM(Science Technology Engineering and Mathematics)教育の源流である。2000年、ブッシュ元大統領は「落ちこぼれ防止法」を成立させ、多額の予算を投下し、子供の学びを国家的課題の中心においた。しかし、PISAのスコアは惨憺たるものだった。
オバマ政権では、全米共通学力基準を設定し、21世紀に必要な力を育てる学習内容を取り入れた。その青写真は素晴らしかったが、理念と現実の教育方法とのズレは埋められていない。また、学びの基準は価値があったが、テストで測り、テストのために準備する教え方は変わらないままだった。
“これだけ「教育改革」が叫ばれ、大規模に実行してきたはずなのに、化石のように変わらない場所が近代の学校なのだ。 ”
社会は科学技術の発達とグローバリゼーションの進展で大きく変化したが、学校現場は100年前からほとんど変わっていない。だから、ビジネスの現場からも、必要なスキルを備えていない若者の多さに不満の声があがり、ソフトスキル育成の必要性を訴えている。しかし、現代社会で活躍するために必要な能力や資質と、教育現場で身につく力のギャップはますます広がるいっぽうである。
 ===================================================つづく




斎藤幸雄