2020年開校。異年齢・自己主導で学ぶ幼小中“混在”校「軽井沢風越学園」が目指す“新しい普通の学校”とは 3

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“新しい普通”をつくるには、
面倒くさくてもゆっくりがいい。
学級崩壊や教師のバーンアウトなど、さまざまな問題が取り沙汰される教育現場ですが、ふたりのあり方からは、行き詰まっている学校現場を「変えなきゃ」という危機感ではなく、「可能性を感じるからつくろう」というポジティブな姿勢を感じ取ることができます。
本城さん 今の学校教育がヤバイというような意識は、僕にはないですね。ただ、デザインを変える時代には来ているかな、と思っていて。
学校現場の人も保護者も行政の人たちも、みんな子どもたちのことや社会のことを考えて一生懸命にやっていて、でも力がピタッと組み合っていないというか。その力をちょっと別の方向に向けたり、違った身体の使い方をすると、あっという間に好転していく現場はたくさんあるはずだ、と思っているんですよね。
今回も新しい学習指導要領をもっと活かすにはどうすればいいか、ということをすごく考えていますし、そのヒントになるものを、ちょっとずつ発信していけたらいいな、と思います。
「ヒント」を発信するために。風越学園は、メールマガジンを発行するなど、設立までの過程もオープンにしています。採用にあたっては、応募人数(なんと初回応募は139名!)や年齢層まですべての情報を公開。途中、合宿形式へと選考方法を変更する試行錯誤の過程までブログやFacebookで発信しながら、これ以上ないくらい風通しの良い状態で学校づくりを進めています。
岩瀬さん オープンにすることで、つながるきっかけができるんですよね。興味を持っている研究者の方と出会えたり、知恵を貸してくださる方が現れたり。どんどんネットワークがつながるので、それがこれからの大きな流れのきっかけになる気がして。
本城さん 僕らがもたもたしていることも含めて情報発信することで、真似されるような、真似したくなっちゃう学校にしたいし、真似できるような方法を考えています。
すごいカリスマ性のある人が引っ張ってつくる学校って多いんですよね。でも僕らは多分そうじゃなくて、3人それぞれに得意分野も弱みもあって、その3人の周りにも人々がいて。自動車なら、それぞれがエンジンだったりブレーキだったり、ハンドルだったり、一人ひとり得意なことを活かすやり方をしている。
だから、あまりしんどくないんです。「ブレーキの調子悪い?」とか「エンジン更かしすぎ!」とかお互いに伝えあっている方が学校をつくってる感じがしますし、そういうプロセスは、単純に楽しくて。ストレスがない。
「でもそれ、面倒くさくないですか?」という私の不躾な問いかけに、「すっごい面倒くさい! でもそれを楽しんでる」と笑うふたり。
その言葉の通り、メンバーのみなさんとは、毎朝5分のオンライン会議で互いの気持ちを交換したり、それぞれに思い描いた「学校の情景」を持ち寄り、ひとつのテキストにまとめたり、あらゆることを共有していくような“面倒くさいこと”を怠りません。
岩瀬さん 僕らがイメージしている学校や社会はみんな少しずつ違って、違ってよくて。でも大きくはこういう感じにしたいよね、っていうイメージを共有するのは、僕らの中ではすごく大事なことなんです。これからやることが、はっきりしてくる。
本城さん 採用も、書類から面接、合宿まで、いろんなかたちの接点を持つことで、僕らのことも知ってもらいたいし、相手のことも知りたいし。
一旦締め切りましたが、長い時間一緒に仕事ができそうだね、とか、もしかしたら暮らしも一緒にするかもね、っていう確認をしながら進めています。とにかく時間がかかっていますが(笑)
じっくりと時間をかけられるのも、イチから取り組む新しい学校づくりの醍醐味。教職員として採用した方とは、開校の1年前からともに時間を過ごしていく予定なのだとか。
子どもの遊びと学びが連続しているように、大人の暮らしと仕事も地続きで捉えながら、ゆっくりゆっくり、学校づくりが進められています。
続く)




吉 四六