中学生における英語教育の現状とこれからの方向性は?

中学生の英語教育について紹介します。
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中学校で行われている英語教育は今どうなっている?
中学生が英語を学ぶ手段として、学校、学習塾、英会話教室などが挙げられます。ここでは、基盤となる学校の英語教育を中心に、それぞれの特徴に触れていきましょう。
日本で行われている英語教育の取り組みとは?
2016年度に中学校の教科書が改訂されました。教科書によって差がありますが、これまでと同じ単元でも、本文の内容が変わっているなどの変更点が見られます。
なぜ同じ単元なのに、本文の内容が変更されたのでしょうか?
それは、「読む、書く、聞く、話す」の4技能をバランスよく習得することが必要とされるようになったからです。これまでは、「読む、書く」に重点が置かれていましたが、国際化にともない、英語によるコミュニケーションがますます求められるようになったことを反映しているんですね。具体的には、「身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができるコミュニケーション能力を養う」(※1)ことが求められるようになりました。
文部科学省のホームページの「外国語教育」のページを見ると、英語教育に関するさまざまな取り組みが掲載されています。このことからも、国全体が英語教育に力を入れていることが分かるのではないでしょうか。
学校以外には学習塾や英会話教室があります。塾では、受験対策として英語を受講している人が大多数でしょう。中には、付属校に通う生徒が、内部進学の対策として学校の補習をしているかも知れません。いずれにしても、コミュニケーションツールとして英語を学ぶというよりは、希望の高校に進学するために必要だからという理由で英語を学んでいることが多いようです。この場合、塾の先生に志望校の過去問を分析してもらい、対策を立て、傾向に合わせてコツコツ勉強していきます。
合格圏内まで偏差値を上げるためには単語を覚え、長文読解にも対応できる読解力も求められます。会話力などとは別分野を鍛えることになりますが、この間に単語力や長文読解の力をぐっと蓄えることができるので、しっかり学んでおきたいものです。
英語教育はいつから実施されている?
英語は、国語、数学とともに主要3教科として位置づけられていますが、そもそも、英語教育はいつから実施されたのでしょうか?
さかのぼること1886年(明治19年)。「学校令」のひとつとして「(第一次)小学校令」が制定され、英語教育が推進されるようになりました。しかし、明治維新後、急速に欧米化する風潮に異論を唱える人も多く、今の小学校高学年から中学校にあたる学年にのみ限定されての実施となりました。しかし、その後、日本語を重視した教育方針へと転換し、小学校での英語教育は禁止され、第二次世界大戦、太平洋戦争の期間は、敵国の言葉として使うことが禁止されるようになったのです。
中学校や高等学校で英語の授業が再開されたのは第二次世界大戦後でした。基本的には、日本語で英語を教えるという授業スタイルだったため、必然的に「読む・書く」技能を習得することが求められていました。
1958年(昭和33年)に文部省(現:文部科学省)が発表した「中学校学習指導要領」によると、英語の授業時間は年間で105時間、週に3時間と定められていました。しかし、選択教科と組み合わせて、実際には英語の授業時間は週に4時間(中学3年生は5時間)でした。(※2)
その後、ゆとり教育の導入により1981年(昭和56年)からは、それまでの週4時間から週3時間となりましたが、英語教育に対する期待が高まる中、この措置には多くの批判が寄せられました。そして1989年(平成元年)の学習指導要領の改定で週4時間に戻されました。
今のままで大丈夫?日本の英語教育の問題点は?
日本の英語教育の問題点は、大きく2つあるのではないでしょうか。
ひとつは、自分の考えや相手に対する意見などを発信する力を養うための教育が不足していたことです。単語を覚える、文法を身につけるというのは確かに必要なことなのですが、それを使ってコミュニケーションをとるという段階までたどりついてはじめて、英語を使って仕事をすることができますね。
もうひとつは、冒頭で述べた「読む、書く、聞く、話す」の4技能のバランスがとれていないことです。英語教育の歴史を見ても、「読む、書く」に力を入れてきた過程が長いので仕方ないかも知れませんが、今後は「聞く、話す」のスキルアップもバランスよく習得することが求められるようになるでしょう。




大越菜央