新時代の学校のあり方-「良妻賢母大」が志願者4倍に

「良妻賢母大」が志願者4倍に 坂東真理子氏が奮闘
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昭和女子大学の坂東真理子理事長兼総長の記事より転載。
少子化や受験生の女子大離れが進むなかで、志願者数をこの10年で倍増させた昭和女子大学(東京・世田谷)。2017年入試の志願者数は大学創立以来最多となったという。原動力となっているのは、卒業生1000人以上の女子大で7年連続トップという実就職率(17年卒は95.5%)とグローバル化へのユニークな取り組みだ。仕掛け人は官僚時代に内閣府男女共同参画局長などを歴任し、大ベストセラー「女性の品格」の著者でもある坂東真理子理事長兼総長。かつての“良妻賢母育成校”はどう生き残りをはかるのか。
■女子大に男子生徒
 東急田園都市線三軒茶屋駅にほど近い昭和女子大キャンパス。平日の夕暮れ時に訪れると、英語で談笑しながら駆け回る下校途中の男子生徒たちの姿をよく見かける。その数、ざっと300人強。「なぜ女子大に男子生徒が。ここはインターナショナルスクールなのか」と一瞬、戸惑うほどだ。
 彼らはかつて昭和女子短大が入っていた建物に校舎を構える男女共学の「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和(BST)」の生徒だ。英国のカリキュラムに基づいた義務教育が受けられる学校として06年に開校し、現在は8歳から17歳まで男女合わせて約630人の生徒が学ぶ。大半は英国出身で、国籍は日本も含め60カ国を超える。
大学・大学院のほか、付属の小中高と認定こども園が集まるこのキャンパスでは現在、BSTを含め総勢約8300人が学ぶ。さらに19年秋には米ペンシルベニア州テンプル大学の日本校、同大学ジャパンキャンパス(東京都港区、略称TUJ)が全面移転してくる。約70億円を投じて新しい校舎などを建て、TUJに貸す。
■女子大に米大が共存 
 移転してくるTUJの学生は大学院を含め約1400人。うち6割以上が欧米を中心とした外国籍だ。そんな学生たちと同じキャンパスでカフェテリアやスポーツ施設などを共有しながら日常生活を送り、両大学で単位互換など学習面を含めて交流するという。日米の大学がキャンパスを同じ敷地内に置くのは日本初の試みだ。
■進む女子大離れ
 昭和女子大といえば、詩人の人見東明が1920年に前身の日本女子高等学院を創立して以来、良妻賢母教育を理想としてきた伝統校だ。にもかかわらず、「良妻賢母の伝統校」からの脱却を掲げ、「グローバル教育とキャリア志向の女子大」へとかじを切った背景には志願者数の落ち込みがあった。02年には3000人を割り込む深刻な事態となっていた。
 少子化や受験生の女子大離れを背景に、東京都江東区などにキャンパスがある武蔵野女子大学は共学に転じたほか、学生募集を停止していた東京女学館大学(東京都町田市)が廃止に踏み切るなど、ピーク時の1998年に98校あった女子大は77校(17年5月時点)に減った。
 「良妻賢母育成校のままではパイは広がらない。社会が女性に求めるものが変わったのだから、女子大も変わらなければ」――。07年に昭和女子大の学長に就任した坂東理事長兼総長は学内の意識改革に奔走。共働き世帯の数が専業主婦世帯を90年代後半に上回って以来、共働きの家庭が増え続けている社会構造の変化などを説いて回り、短大の廃止を決断した。
(中略)
■志願者数が1万人超で過去最多に
こうしたユニークな取り組みと、立地の良さが相まって、17年入試の志願者数は1万3079人と、10年前の2倍強となり、過去最低の02年(2999人)の4.4倍まで増え、創立以来最多となった。入試時の偏差値は「今はMARCH(通称マーチ、明治、青山学院、立教、中央、法政)より下だが、女子大が相対的に下がるなかで昭和女子大のグローバルビジネス学部の躍進には目を見張るものがある」(大手予備校の関係者)という。
18歳人口が減り始める「2018年問題」が目前に迫り、女子大不要論まで飛び出すなかで、坂東理事長兼総長は「キャリア教育において女子大ならではの強みがある」と言い切る。男子学生と女子学生が席を並べる共学校の授業では「十分に教えてはもらえないような『実社会では必ずしも男女平等ではない現実』を昭和女子大では堂々と教える」という。