学校に行くのは週1 前向きな不登校を選択したある親子の挑戦 2

[学校に行くのは週1 前向きな不登校を選択したある親子の挑戦 1]の続き
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◎学校や教委との3ヶ月に及ぶ話し合いの末、今のスタイルに
 しかし、学校から今のスタイルがすんなり認められることはなかった。
 「入学式の翌日、うちの娘が学校に行かないといっているので、無理矢理行かせるのではなく、自宅で教える環境を用意してやっていきます、と話をしたが、すぐには認められなかった」(佐別当さん)
 担任や副校長を交えて話し合いが始まった。
 「娘が行きたいといったら、いつでも戻れるようにしたいので、『学校に籍だけ置かせてほしい。週1日や、行きたい科目だけでもいいなら通わせられる。柔軟な対応をしてほしい』と話をしたら、それは出来ないと言われた。学校としては毎日来るか、来ないかのどちらかじゃないと困りますと」(佐別当さん)
 話し合いは平行線をたどり、3ヶ月経った。突破口を開いたのは、文部科学省に勤める友人から、学校だけではなく、教育委員会も含めて話すよう勧められたことだった。
 「7月に、教育委員会の方に今話したような説明をしたら、佐別当さんのところは親がさぼっているのではなくて、家庭で教育環境をつくっているので、学校側が毎日来なさいというのではなく、1日でも行けるような環境をつくるなど柔軟に対応したほうがいいという話をしてくれて、それで2学期から体育だけ行かせてもらいますという話になり、受け入れてもらえた」(佐別当さん)
 週に1回の体育だけの通学。絵理ちゃんはいじめられたりしないのだろうか。
 「友達できたよ」と話す絵理ちゃん。楊さんも「クラスの子はすごく話しかけてくる。週1でも子供たちはすごく自然ですよ」と心配していないようだ。
◎教委の言い分「週5日来てほしいことには変わりないが、対話が大事」
 今の状況を教育委員会はどうとらえているのか。品川区の教育総合支援センターの大関浩仁センター長に話を聞いた。
 大関センター長は、「学校としては登校を促し続けている最中」だとした上で、「時代の流れの中で、いろいろな考え方が出てきている。無理して通うのではなく、今日は休んでもいい、という家庭も増えているので、不登校の出現率が、品川区でも若干上がってきている」と話す。
 品川区では、区立の適応指導教室を運営しており、「学校に通えない子供の教育機会はそこで確保できると思っている」という。
 「学校に行かせないのは教育機会の均等とはいわない。35人の集団でいろいろと活動して学ぶものがある。それは家庭の中だけでは難しいのではないかと思う」と語る。
 佐別当さんの家の場合、毎週体育に通っており、コミュニケーションも取れているが、「親が学校に通わせない場合、ネグレクトの疑いもある。長期間、子供に会えない場合は無事かどうか、安否確認をしなければならない。児童相談所と連携して動く場合もある」と説明。
 各家庭の考え方を尊重しながらも、「公立学校である以上法令に沿った判断をするしかない。登校しないで家庭教師をつけるような学び方が、正式に国レベルで認められるといったことでもない限り、選択肢の一つとして受け止めるのは難しい状況だ」と話した。
 学校には行かずに、自宅で学ぶ「ホームスクール」の実践者を支援する、NPO法人「日本ホームスクール支援協会」(東京)の日野公三理事長は、「協会を立ち上げ、20年近く支援をしているが、教育委員会側から『おたくがそそのかすから、学校に来られないことを正当化する親がいる』などと批判を受けたことがあった。ホームスクールは、学校や教育委員会からは前向きな選択としては受け止められていない現状がある。不登校状態でも、学習が進められる点は評価されながらも、積極的にホームスクールと名乗ると批判を受けるという、二重構造になっている」と指摘する。
 「ただ、多様な学びの確保は必要なことだと思っている。これからの時代、自分の頭で考え、未知の課題に取り組める問題解決力の高い人が求められる。学校だけでは多様な学習ニーズを持つ子供たちに対応することは難しい時代になっているのではないか」と話す。
 協会によると、ホームスクールは米国ではすべての州で法的に認められ、米政府の統計では、全体の2.8%にあたる164万人超(2017年)がホームスクールで学んでいるという。
◎選択肢の一つとして認めてほしい
 佐別当さんは、今のやり方を貫いて、何を変えたいのか。
 「ホームスクールや、ハイブリッドスクーリングについて、ポジティブな議論がされていないので、学校に合わない人がホームスクールをしていると思われている。教育の選択肢を増やしたいという思いがある。今は変わった人と思われているかもしれないが、いずれはぼくらみたいな選択をする人も増えていってほしい。だから事例として知ってもらいたいし、そういうのもOKなんじゃないかって思ってほしい。最終的には、もう一歩先に進んで、もっと合法的に認めてもらえたらうれしい」




池田みさき