過疎地発、教育イノベーション② ~自分から中に入って、共に変わっていく

続いて、以下、リンクより引用
■自分が中に入り、共に変わる
―前例のない施策に挑戦するにあたり、抵抗もあったと思います。特に「よそ者」としてのやりづらさもあったと思いますが、どのように乗り越えたのですか。
岩本 やはり最初は大変でした。地域にも学校にも、「よそ者」や新たな取り組みに対しての抵抗感は強くありました。
でも、「よそ者」だから気づけることやできることもあります。弱みだと見なされていたことをメリットと考える発想の転換は、「よそ者」のほうがやりやすいと思います。
また、海士町は、産業振興やUIターンの推進などさまざまな地域活性化に挑戦しています。そうした取り組みを支えている志、情熱を持った多くの地元の人がいます。こうした地域の人たちの「よそ者」に対しての応援や協力が、強い後押しとして働きました。
取り組みを進めるにあたって、あるとき、「外から変えようとすると抵抗が起きる」と気づいたんです。「外から変える」ではなく、「自分から中に入って、共に変わっていく」というスタンスに変えてから、物事が動き出すようになりました。
カリスマによるリーダーシップではなく、多くの人間の協働による「チームシップ」が重要だと考えました。仲間を増やし、多様な関係者の協力を得ながら進めることを意識しました。
そして、その際に大切にしたのが「三方よし」の原則です。いろいろな意見、利害関係、人間関係が絡む中で、みんなが「よし」と思える解を探し求めていく。それは簡単ではありませんが、粘り強く「三方よし」を追求し続けることで、協力者が少しずつ増えていきました。
島前高校の取り組みも、成果が出始めるまで5~6年はかかりましたが、「三方よし」の原則で、多様な人たちとの協働で進めた結果、地域に根差し徐々に広がってきています。
■改革の真髄は、形よりプロセス
―改革の結果、島前高校の入学者数はV字回復。県全体の県立高校の募集定員が過去最少となる中、小さな島の高校としては異例の学級増となりました。島前高校の教育改革が成果をあげた要因を、どう見ていますか。
岩本 私たちは、この取り組みを「成功事例」とは思っていません。「挑戦事例」と呼んでいます。挑戦はまだ継続中で、ゴールではありません。それでも近年、多くの自治体や学校等が視察にやってきます。ただ、島前高校の取り組みを、形だけ真似て他の地域や学校でやってみてもダメだと思います。
取り組む過程におけるさまざまな人たちとの対話や関係性づくり、地域資源の掘り起こしや共通ビジョンの構想などのプロセスが重要で、それを積み上げていくことで、地域独自のことができると考えています。
そして、「地域と学校」、「生徒と社会課題」、「地元とよそ者」など、既存の教育現場ではつながっていなかったものを結び付けて、新しい「学びの場」を創造していく。「異なるものの縁結び」が改革のポイントだと思います。




根木貴大