積極的な「不登校」。自由にスクスク学ぶ育ち方

「学校に行くのは週1 前向きな不登校を選択したある親子の挑戦」(リンク)
■シェアハウスに暮らし、多様な大人の中で育った娘「学校に行かせるより家で学んだほうが伸びる」
(前略)家族以外の大人が日々出入りし、書道や演劇のワークショップなども自宅で開催してきた。一般的な家庭よりもにぎやかな環境で、絵里ちゃんはのびのびと育ち、人懐っこい、物怖じしない性格となった。「友達作るのなんて簡単だよ」。天真爛漫な笑顔は、いわゆる「学校に行くつらさを抱えて不登校となった子供」のイメージとは程遠い。
そんな絵里ちゃんを毎日小学校に通わせないことに決めたのは、佐別当さん夫妻の教育観によるところが大きいという。
「家で学校では学べないような体験をさせている。画一的に教えられるよりも、生活の延長で学んでいくほうが力を伸ばせるのではないか」(楊さん)、「学校に行かせるのが正しいんだろうかというのが疑問としてはあった」(佐別当さん)
絵里ちゃんからも入学前の学校説明会や入学式に行ったときに、「今までの教育スタイルのほうがいい、学校に行きたくない」という話があったという。
「そう言うんじゃないかな、と思っていた。娘が行きたくないなら、いろいろな学びの場や大人から学んでいく形を広げていこうと思った」(佐別当さん)
■週1回、体育だけ参加 それ以外は英語で学ぶアートスクールに通ったり、自宅で勉強したりして過ごす
絵里ちゃんのスケジュールはこうだ。
週に1日、水曜日は小学校へ行き、体育だけ参加する。それ以外の日は火・木・土曜日、午前9時~午後2時に、都内にある就学前から通っている英語で学ぶアートスクールで過ごす。金曜日には学校の放課後にあたる時間に、別の探求型の学習塾で、宇宙や動物などいろいろなテーマについて調べたりするプログラムを受けている。月2回、日曜日には、英語で税金や株などお金について学ぶスクールにも通っている。
家庭での学びはどうか。習い事がない日は午前9時~10時に、楊さんが教える形で、英語、算数と国語の勉強をするという。好きな英語の歌を歌詞をみながら歌ったり、楊さんが選んだ教材で漢字を書いたり、計算したりしているといい、「教科書は学校からもらってきているけれど、教科書どおりに教えるのではなく、必要なものを自己流で教える」(楊さん)という。月曜日は月に2回、日本語の家庭教師をつけているといい、1時間半、国語を集中して学ぶ。
自宅での学びでは、子供がついついさぼってしまうこともありそうだが、佐別当さん夫妻は「それはない」と語る。「ずっと勉強せずに、iPadばかり見ていたりとかはすごく怒る。やるときにやらないと時間が無駄だと。算数は計算が難しいから、思考しなくなったりすることがある。そういうときも、ちゃんと自分の頭で考えなさい、と厳しく言う」(佐別当さん)
楊さんは、教科学習以外の部分も大切にしている。「スカーフやドレスを手作りしたり、誕生日ケーキを自分でデザインして作ったりして、生活の中から自然と学ぶということを大切にしている。最近はクリスマスに向けて毎日カウントダウンのクリスマスカードをデザインし、待つ気持ちを英語でカードに書いてもらう」「生活の中にあるものを活かして教育することで、自然に彼女はどんどん自分のキャパが広がっていく。それが重要だと思っている」(楊さん)
 
夏には台湾人の楊さんの帰省に同行し、数週間台湾で過ごすという。生活から学ぶスタイルで、絵里ちゃんは、英語、中国語、日本語が話せるようになった。
別当さんは、「日本でしか通用しない人間になってほしくない」と話す。
■学校教育法では「保護者は子を小学校に就学させる義務を負う」
信念に基づいて、絵里ちゃんをさまざまな手法で教育している佐別当夫妻だが、そもそも法律的には学校に行かせない、ということの位置づけはどうなっているのだろうか。
学校教育法では、「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う」と定められている。子供を小学校に行かせることは親の義務なのだ。
一方で、今年からは「教育機会確保法」という法律が新たに施行されている。教育機会確保法では「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにする」ことを基本理念としている。
今年の3月には文部科学省から自治体などに向け、以下のような通知が出されている。
「家庭で多くの時間を過ごしている不登校児童生徒についても、社会的自立に向かえるよう、家庭への学習等の支援を行うことや、当該学習等への社会的な理解の促進を図ることは重要である」
以前よりは、「学校以外の場で学ぶ」ということを選択しやすい環境にはなってきていると言えるだろう。(中略)
■教委の言い分「週5日来てほしいことには変わりないが、対話が大事」
学校には行かずに、自宅で学ぶ「ホームスクール」の実践者を支援する、NPO法人「日本ホームスクール支援協会」(東京)の日野公三理事長は、「協会を立ち上げ、20年近く支援をしているが、教育委員会側から『おたくがそそのかすから、学校に来られないことを正当化する親がいる』などと批判を受けたことがあった。ホームスクールは、学校や教育委員会からは前向きな選択としては受け止められていない現状がある。不登校状態でも、学習が進められる点は評価されながらも、積極的にホームスクールと名乗ると批判を受けるという、二重構造になっている」と指摘する。
「ただ、多様な学びの確保は必要なことだと思っている。これからの時代、自分の頭で考え、未知の課題に取り組める問題解決力の高い人が求められる。学校だけでは多様な学習ニーズを持つ子供たちに対応することは難しい時代になっているのではないか」と話す。(取材・文/高山千香)(以上、引用)




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