叱責の翌日に生徒が自殺…教師たちのその後

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兵庫県立伊丹高で生徒指導部長だった小南誠教諭(58)は、聞いた瞬間、体が震えた。「西尾健司君が亡くなりました」。2002年3月23日早朝の連絡だった。
「なんでや。なんでや」。自問を繰り返した。
前日、学校のトイレで喫煙したため、小南教諭と校長、教頭、学年主任、担任の青木俊也教諭(54)の5人で特別指導を行っていた。前年12月に続く指導だっただけに口調はより強くなったが、内規に沿った指導であり、他の生徒のケースと同様に対応したつもりだった。
青木教諭も、母親の傍らで落ち込み、涙する健司さんの姿を見ても「命を絶つほど思い詰めているとは想像できなかった」。
■一方通行になりがちな指導
淡々とした学校側の対応に遺族は不信感を募らせた。線香を上げた後、校長は「特別きつくしかったわけではなく、今までと変わりなく注意したまでで…」と説明した。
しかし、小南教諭には母裕美さん(59)の訴えはもっともだと思えた。「無期謹慎を申し渡された子どもがどんな気持ちでいたか分かりますか」「責めるだけの厳罰ではなく、思いやりのある指導であってほしい」。一方通行になりがちな指導だったことに気付いた。
退学のようなイメージを与えかねない「無期」という言い方を「当分の間」に変え、数時間に及ぶこともあった、問題ある行動を起こした生徒への事実確認は1時間までとした。教師が感情的にならないように複数で対応することも決めた。「厳しい指導こそが生徒を鍛える」と考える同僚も多く反対意見もあったが、1年がかりで内規を改めた。
「駄目なことは駄目と伝えるべきだが、子どもは失敗しながら成長する。やり直す機会を与えることが大切。指導で無用な不安を与えてはならない」。その行動に至った経緯や抱えている悩みを、生徒が教師に話せる場になればと改定に期待を込めた。
青木教諭は当初、指導方法を変えることが本当に必要か半信半疑だった。ただ、裕美さんの訴えに耳を傾けるうち、考えは変わっていった。健司さんが亡くなってから4年。「僕の中で日々健司君の存在が大きくなっていくのを感じます」と裕美さんに語った。
■生徒の内面をより大切にするようになった
生徒一人一人の内面をより大切にするようになり、「しっかり反省しなさい。でも今まで頑張ってきたことは大事にするんやで」と必ず声を掛けた。今までの成長があってのこれから。指導で全てを崩す必要は何もないと考えた。
その後に移った定時制高校。ある生徒が深夜、「もう生きるのしんどい」とメールを送ってきた。父親は蒸発、母親は心の病を抱え、友達関係もうまくいっていなかった。すぐに車を1時間飛ばして家に向かい、無事でいるのを見たとき、涙があふれた。「良かったなあ」。生徒も泣いていた。健司さんのことがなければ、危機感は薄かったかもしれないという。
「100人に1人、その指導がしんどいと思う生徒がいるかもしれない。99人まではよくて100人目は駄目という可能性。ふっとその違いに気付くかどうか」と小南教諭は話す。問題行動には理由や背景が必ずあり、それが何かを理解できなければ教師の言葉は生徒の心に届かない―。「生徒がつらいとき、教師の顔が浮かぶ関係をつくれたら、問題が起こる前に解決できる」と信じている。
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