「親の失敗談」が子どもの"最高の栄養"になる

教えるという枠を外す発想だと思う。
教えるという前に、親と子供の目線が同じになる=共認充足だともいえる。
親から「学校の勉強はムダ」という失敗談をするのが一番良いのではないか?とさえ思います。
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「親の失敗談」が子どもの"最高の栄養"になる
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皆さんは、子どもに「生々しい失敗談」をどれだけ語っていますか? その影響力、重要性を考えたことがありますか?私が教師だったときのことです。運動会が近づいたある日、私は子どもたちに次のような話をしました。
先生(私)は子どものころ、運動会の徒競走で、いつも4番か5番か6番でした。それで、徒競走が大嫌いでした。特に、スタートする前が嫌でした。みんな速そうだなとか、このメンバーだとまたビリかビリ2番だな、とか考えて、すごくドキドキしていました。
3年生のときの運動会で、こういう状態でドキドキして待っていると、隣に並んでいた子が話しかけてきました。「ぼく、走るのがすごく遅いんだ」「そう? ぼくもだよ」「じゃあ、2人で一緒に走らない?」「えっ?」「1人だけビリになるの嫌だから、一緒に走って一緒にビリにならない?」「うん、いいよ」。
そして、いよいよ、スタートのときがやってきました。「位置について、ヨーイ、ドン!」。杉山少年(私。本名が杉山です)は一生懸命に走りました。横を見ると、一緒に走ろうと言ってきた子も一生懸命に走っています。ところが、そのうち、あれ、あれ、なんと、その子がだんだん前に行ってしまうではありませんか!
▼「なんだかぼくってバカみたい」
なんでそんなに速いの? 一緒に走ろうって言ったじゃん! 「待って~、こら~」と心で叫んでも、声にはなりません。とうとう、杉山少年はビリでゴールイン。一緒に走ろうと言っていたその子はビリから3番でした。走り終わった杉山少年は思いました。いったい、あの約束はなんだったのだろう? はてなはてな? なんだか、ぼくってバカみたい。
これは、私が小学生のときの実話です。私は、受け持った子どもたちに運動会の度に何回も話してきましたが、毎回子どもたちに受けました。特に、スタート前の緊張しているところや走っていてだんだん遅れていくところの描写が受けます。そして、最後の「なんだかぼくってバカみたい」のところで大爆笑になります。この話に限らず、私はときどき「杉山少年物語」という題で、自分が子どもだったときの話をしてあげました。いつもは先生の話などほとんど聞かない子でも、こういう話になると目を輝かせて聞いていました。
(中略)
▼話す人と聞く人の心をつないでくれる
杉山少年物語は、多くの場合、うまくいったことよりも失敗したことのほうが受けました。でも、時には一生懸命頑張って成功した話もしました。私は水泳が苦手で、小学生の頃はまったく泳げませんでした。中学1年生の夏休みに、友達と学校のプールに通って、やっと犬かきで泳げるようになりました。なぜ犬かきかというと、水に顔をつけなくていいし、息継ぎもいらないからです。犬かきならできそうだと気がついたので、犬かきに懸ける決意をしました。そして、手のかき方と戻し方、足の動かし方など工夫して、100メートル以上泳げるようになりました。この話には子どもたちがけっこう感動してくれました。また、小学生のとき勉強が苦手だったので、中学に入ってから英語だけを頑張って、学年1番になったことも話しました。これはけっこう自慢話も入っていますが、子どもたちはよく聞いてくれました。
(中略)
こういう話は、話す人と聞く人の心をつないでくれます。心理学の言葉を使っていえば、自己開示によって親密度を高めることができるということになります。つまり、この人も自分と同じ人間なんだということがわかることで、ぐっと親しみが増すのです。「お父さんもドジや失敗をしていたんだ」「お母さんも運動が苦手だったんだ」と感じれば、自然に親しみが湧くのです。
(中略)
▼親の話から、生き方のモデルを学ぶことができる
ですから、私は、親である皆さんも、自分が子どもの頃の話をしてあげるといいと思います。皆さんのお子さんは、親である皆さんが子どもの頃のことをどれだけ知っていますか? ほとんど知らないのではないでしょうか? だいたいいつも、「なんで○○できないの。○○しなきゃダメでしょ。ああしなさい。こうしなさい」というようなことばかり言っていて、きっと子どもたちはみんな聞き飽きています。
皆さん自身の物語をしてあげると、親子の親しみがより一層増すのはもちろんですが、それ意外にもいいことがいっぱいあります。
子どもはそこからなんらかの教訓を学ぶかもしれません。
これは東京都の吉田さんという40代の女性に聞いた話です。吉田さんの長女は、今は高校生ですが、中学1年生のときに部活動の人間関係で悩んで、それを吉田さんに打ち明けてくれたことがありました。そのとき、吉田さんは娘さんの話を共感的に聞きつつ、自分が同じように中学生の時にクラスの人間関係で悩んだ話をしてあげました。すると、数年後に娘さんが、「あのときお母さんが自分の話をしてくれて、ありがたかった。お母さんも同じことで苦しんだんだ。だから、私のこともわかってくれているって感じた。
それに相手との距離の取り方がすごく参考になった」と話してくれました。
また、親の話から生き方のモデルを学ぶことができるというのも大きなことです。子どもたちは人生経験が少ないので、生き方とか人生というものがまるでわかっていません。テレビや本、マンガ、アニメ、小説、伝記などで少しずつそれを学んでいくわけですが、いちばん身近な親の物語をしてあげるとすごくよい栄養になります。目の前にいる実在の人物ほどインパクトのあるものはないからです。
(中略)
ただし、家庭で話すときも職場で話すときも、気をつけてほしいことがあります。それは、説教、道徳教材、自慢、愚痴などにならないようにすることです。(以後略)
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(引用以上)




小平健介