通信制の高校が、強制的な学校教育を拒否する生徒の、受け皿になって急増中。(3/3)

高校生19人に1人は「通信制少子化時代に生徒増のわけは?(3/3)
Yahooニュース リンクより
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不登校」から「皆勤賞」に
埼玉県に住む50代の母親は17年度から娘を同校に通わせている。娘は、友達とうまく接することができなかったことなどが重なって、小学校から不登校が続いていた。それが「わせがく高校に通ってみたい」と言いだし、自ら週5日コースを選んだという。母親は「制服も買ったのよ。『本当に行くの? 使うの?』とか言いながら」と話す。
わせがく高校の制服。義務ではないが、購入する生徒も多いという(撮影:笹島康仁)
母親は続ける。
「小学校では遠足のバスの席決めが大変だったの。先生に『誰々ちゃんの隣にしておきました』と特別扱いしてもらったり。でも、今は『誰とでも平気』って娘は言います。先生もそう言ってくれる。そうだったんだ、実はそうだったんだね、って。気にしてたことって、大したことなかったんだね、って。そういう一つ一つが自信になっていくのよね」
「クラスのみんなが優しいのも大きいのかな。みんな、多かれ少なかれ同じような経験をして、痛みを知ってるから。(接し方の)加減を知ってるっていうか。(娘が)通えたのがうれしい。今のところ皆勤賞。待って良かったと思う」
わせがく高校の校舎内に貼られた掲示物(撮影:笹島康仁)
「将来を考えている子が多いです」
通信制高校の生徒が増える大きな理由には、やはり「不登校」がある。文科省によれば、年間30日以上欠席した児童生徒の中で「不登校」とされる小中学生は16年度に13万4398人を数えた。千人当たりでは小学校で4.8人、中学校で30.1人となり、いずれも過去最高だ。
それでも不登校経験者の8割強は高校に進学する。その有力な受け皿が通信制定時制であり、中央教育審議会も16年の答申で「学び直しの機会提供」への期待を記している。
そうした生徒たちを支援するNPO法人「D×P」(ディーピー、大阪市)の今井紀明さんは「通信制に通う生徒はこれからも増える」と感じている。
通信制高校への企業の参入も増えるでしょう」と話す今井紀明さん(撮影:笹島康仁)
「子どもたちは賢いと思うんです。社会の変化に敏感です。『プログラミングをやりたいのに、全日制の学校に通う意味が分かんなくなっちゃった』と言って、通信制に編入した生徒もいました。自分で仮想通貨を運用する子ども、ファッションで稼ごうとしている子どももいる。起業意識も高い。将来をちゃんと考えている子は多いんです。けれど、一方では通信制には不登校経験者も多く、卒業後の進路未決定率も高い。卒業しても、自立できず、ニートになったり……」
D×Pは、通信制定時制の生徒と社会人らが体験を語り合うプログラムを提供している。信頼できる大人との関係をどう築くか。それが大切だと考えているからだ。
大阪市にあるD×Pの事務所で(撮影:笹島康仁)
「今の日本では、しんどい子ほど孤立してるんです。いじめを受けたり、親から傷つけられたり、先生と揉めたり。こうして頼れる人がいない子たちが孤立しています。そこから自分の力だけで生きられる確率って何パーセントあるんでしょうか? 生徒の自己責任だとは思えません。さまざまな経験をしている子たちだからこその可能性もあると思っています」
笹島康仁(ささじま・やすひと)
1990年、千葉県生まれ。高知新聞記者を経て、2017年からフリー。