通信制の高校が、強制的な学校教育を拒否する生徒の、受け皿になって急増中。(2/3)

高校生19人に1人は「通信制少子化時代に生徒増のわけは?(2/3)
Yahooニュース リンクより
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通信制」の割合、30年で倍に
文部科学省の学校基本調査によると、通信制高校の生徒は、2017年度に18万2515人を数え、高校生全体(約346万人)の5.3%を占めた。19人に1人が通信制を選んでいる計算だ。1990年度は高校生全体(約579万人)のうち2.7%(15万3983人)だったから、およそ3万人増えたことになる。
近年は私立の通信制の新設が目立ち、全体の学校数は増え続けている。1998年度に初めて100校に達すると、その後も三つ以上の都道府県から生徒が入学できる「広域通信制」の高校を中心に急増。03年度からは学校法人だけでなく、株式会社も学校を設置できるようになり、17年度には全国で250校を数えた。
こうした中、通信制課程のある私立高校をめぐっては、問題が後を絶たない。
2015年には、三重県のウィッツ青山学園高校による就学支援金の詐取事件が起こり、茨城県に本校を置く鹿島学園高校では、5年連続で定員(4千人)以上の生徒を在籍させている問題も明るみに出た。ほかにも、高校とは思えない簡単なレベルの授業を行ったり、不正な編入学を行ったりする学校もあった。文科省も対応を迫られ、「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」を16年に策定した。
それでも通信制の人気は衰えていない。なぜだろう。瑠威さんはこう話す。
「(通信制が増えているのは)好きなことをやりながら、好きな時間に勉強できるからじゃないですか? やる気が出た時にやるから、授業も面白い。(全日制の)学校に行くと、放課後しか自由な時間がない。私は普通の学校に行ったら、中退してたと思います」
通信制へ それぞれの事情
N高校の沖縄本校で行われたスクーリング(学習指導要領に定められた面接授業)や東京キャンパス(渋谷区)で生徒たちに話を聞くと、通信制を選んだそれぞれの事情が見えてくる。
愛知県豊橋市の中野貴章さん(18)は、親に薦められた工業高校に1年間通った後、N高校に移った。「前は通学時間が長くて……。朝は5時起きで、夜11時に帰宅。工業系の授業も合わなかった。N高の先生たちは良くも悪くも塾の先生みたい。個性的です」。神戸市の吉村匠生さん(16)には書字障害があり、中学ではテストで苦しんだという。「キーボードなら打てるんです。そういう配慮をしてくれる。学習障害のある人間に優しいです」
福島県に住む小松龍哉さん(15)の場合、地元で高校に行くなら「普通科か工業科か」の選択肢しかなかった。「プログラミングを学びたかったんです。将来はゲーム関係の仕事をやりたくて」。だから普通科も工業科も選ばず、科目の選択も時間の使い方も自由な通信制を選んだという。今は地元のホームセンターで毎月約80時間のアルバイトをこなしながら、ネット上で授業を受けている。
「普通の学校って、『みんなでやること』を想定するじゃないですか。私の小学校には『ひとりの子をつくらない』っていうスローガンがありました。聞こえはいいけど、すごくしんどかった。1人で遊ぶことが悪いみたいで。『みんなと同じことができない』っていうのが、私のコンプレックスになりましたから」
角川ドワンゴ学園理事の川上量生さんは「今の教育からはじき出された人が劣っているのでしょうか? 全然違いますよ」と問いかける。
「ネット上のコミュニケーションが強い人だっている。そういう人が単に『不登校』とされるのはフェアじゃないです。同時に、通信制が(そうした子どもたちの)セーフティーネットだとは思っていません。セーフティーネットではなく、最先端。N高をやって、通信制高校全体のイメージが上がったことは良かったと思っています」
「実にさまざまな子が入ってきます」
通信制高校は「自由」を押し出すばかりではない。「わせがく高校」(本校・千葉県)もその一つで、守谷たつみ校長(59)は「うちはN高校さんとはスタンスが違う。自分で何でもできる子にはいいけど、そうじゃない子には対面での指導が大事です」と言う。予備校を運営する早稲田学園が2003年に開校し、関東一円にキャンパスや通学用の「学習センター」を置き、大阪府福島県などに提携校を持つ。17年度に生徒数は千人を超え、入学可能範囲も全国に広げた。
同校は自宅学習が中心の「自学型」に加え、通学コースにも力を入れているという。週2日と週5日のコースを持つが、実際の通学は「義務」ではない。守谷校長は「通うのが義務じゃなくなることで、通いやすく感じる生徒が多いようです」と言い、生徒の質も年々変化してきたと語る。
「開校当初はヤンチャ系が中心で、退学せずにどうやって卒業させるかが大きな問題だった。そのうち不登校だった子が増え、今では大学受験に集中したい子、外国人労働者の子、学習障害のある子など、実にさまざまな背景を持った生徒が入ってくるようになりました」
(3/3)に続く




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