通信制の高校が、強制的な学校教育を拒否する生徒の、受け皿になって急増中。(1/3)

既に、現在の強制的な学校制度のほころびが様々なところで発生している。
不登校が増えるだけでなく、その受け皿が、彼らの可能性を生かせて行けるシステム、通信制の増加として、動きだしているのだ。
学校教育、受験勉強、学歴社会、出世競争のサラリーマンという社会システムは、既に若者から拒否されて始めている。
まずは、教育制度から、変わり始めている。
社会システムの全面変革が始まろうとしている。
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■高校生19人に1人は「通信制少子化時代に生徒増のわけは?
Yahooニュース リンクより
少年はリュックからiPad Proを取り出し、自分の「通う」高校を見せてくれた。画面には「国語表現」の授業メニューが並び、それぞれに「完了」マークが付いている。動画を見て、テストに答え、仕上げにレポートを提出する。「ネットの高校」をうたう通信制の「N高校」の授業だ。
授業やホームルームはインターネット上でほぼ完結でき、空いた時間は好きなことに使う。そんな「自由」にひかれ、幼なじみ2人とここを進学先に選んだという。彼だけではない。N高校だけでもない。少子化が進む中、通信制高校は増加傾向にあり、実に19人に1人が「通信制」を選ぶ時代になっている。(笹島康仁/Yahoo!ニュース 特集編集部)
「急に自由になりすぎて」
N高校2年生の小島力さん(17)が待ち合わせ場所のカフェにやってきた。今年1月末、神奈川県川崎市。外の寒さのせいか、頬が少し赤い。
「なんとか今年度の課題が終わりました。ギッリギリ。全然やってなくて、たまってて……。中学の時は毎日学校に行ってたのに、急にフリーになったじゃないですか。最初は少しずつ(課題を)進めてたけど、途中から自由すぎて」
勉強は嫌い。小学校4年ぐらいから寝てばかりだったという。画面の「完了」マークもほとんどは、年が明けてからのものだ。
「普通の学校って、整ってますよね」
N高校は2016年春、学校法人「角川ドワンゴ学園」が開校させた。学校法人の母体は、「カドカワ」である。当初はVR(仮想現実)機器を使った入学式やオンラインゲームでの遠足などが話題になったが、小島さんは至って冷静だった。
「今はいろんな『通信』がある。N高は注目されていろいろ言われるけど、どこも一緒ですよ。つまらない授業だってある。でも、まあ、面白い割合は高いかな」
N高校では必修科目に加え、プログラマーやクリエイター志望者向けの授業、受験対策など、自分に合ったものを選択できる。授業の時間は自由に設定できるから、1日を自由に使える。小島さんも大好きなゲームや中華料理屋でのアルバイトに時間を使うことができ、ピアノも習い始めた。生まれたばかりの弟の世話もするという。
不満もある。
「友達との出会いは少ない。部活もやりたかったな。やるなら、自転車かバンド。普通の高校って、やっぱり整ってますよね。けど、まあ(N高校に)入ったからいいかな、って。自分で決めれば勉強も友達もできるし」
生物の確認テスト。スマートフォンからも授業やテストにアクセスできる(撮影:笹島康仁)
開校2年、生徒数4790人
教員約40人のN高校(定員1万人)にはこの1月末現在、4790人の生徒が在籍している。このうち約千人は17年度の途中で入学した生徒だ。週1~5日はキャンパスや提携校に通う「通学コース」の生徒は4分の1。いまは東京と大阪にあるキャンパス(定員計520人)に加え、この春からは福岡や名古屋など6カ所(定員計1400人)にキャンパスを新設するという。
「本校」は沖縄県伊計島にある。昨年9月に開かれた説明会には、約50人の親子が足を運んだ。奥平博一校長はその席で「子どもの悪いとこに目が行ってませんか?」と語り掛けた。「英語はいいけど、数学は……とか。でも、得意を伸ばせばいい。英語を伸ばせばいいんです。これからの社会では、平均点だけの人間では役に立たないんです」と。
N高校の本校は沖縄県伊計島にある。閉校した公立校の校舎を使っている
奥平さんは30年以上、教育の仕事に携わっている。別の通信制高校でも校長を務めた。それでも、「N高校の初代校長」はずいぶん思い切った決断に思える。後日、その真意を問うと、こう話してくれた。
通信制ってどんなイメージですか? 問題を抱えてる子がいる学校? もちろん大変な子もいるけど、ものすごく頑張る子もいるんです。けれど、社会的な立場が低く、ちゃんと認められない。それは子どもの責任ですか? 違いますよ。我々の努力、学校の努力不足です。ゼロからつくるしかないと思いました」
■「高校、行かなくていいよ」
説明会に来ていた沖縄市の砂川瑠威さん(17)は、中学にほとんど行っていない。高校進学を前に、母の紋乃さん(35)は「行きたくないなら、高校には行かなくてもいい」と告げたという。
「(娘は)絵や小説が好きだから、まず、良いところを伸ばしてほしいと思ったんです。心がつぶれる前に。でも、やっぱり高校は行ってほしかった。最近、そんな瑠威にN高のことを教えたら、初めて『行きたい』と言ったんですよ」
紋乃さんが続ける。
「私は、めちゃめちゃ世間体の母親だったんですね。学校は行くもんだ、って。学校まで瑠威を引きずったこともありました。でも、戻ってきちゃう。そのうち、全然しゃべらなくなっちゃった。あれが一番効いたな……。それで、コミュニケーションを取ろうと思ったら、気付いたんです。ああ、私はこの子の気持ちを無視してたって。学校に行かせるより、この子を守ることが大事。だから、無理に行かせない代わりに、行きたい方向が見つかるよう、働きかけ続けることにしたんです」
砂川さん親子はこの説明会後、すぐに入学を決めたという。
(2/3)に続く