受験生のみなさんへ(内田樹の研究室)①

内田樹の研究室より転載します
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2018.03.23
受験生のみなさんへ

サンデー毎日」の先週号に「受験生のみなさんへ」と題するエッセイを寄稿した。高校生や中学生もできたら小学生も読んで欲しい。

受験生のみなさんへ。
こんにちは。内田樹です。この春受験を終えられた皆さんと、これから受験される皆さんに年長者として一言申し上げる機会を頂きました。これを奇貨として、他の人があまり言いそうもないことを書いておきたいと思います。

それは日本の大学の現状についてです。いま日本の大学は非常に劣悪な教育研究環境にあります。僕が知る限りでは、過去数十年で最悪と申し上げてよいと思います。
 見た目は立派です。僕が大学生だった頃に比べたら、校舎ははるかにきれいだし、教室にはエアコンも装備されているし、トイレはシャワー付きだし、コンピュータだって並んでいる。でも、そこで研究教育に携わっている人たちの顔色は冴えません。それは「日本の大学は落ち目だ」という実感が大学人の間には無言のうちに広く深く行き渡っているからです。
 日本のメディアはこの話をしたがりません。ですから、はっきりとデータを突き付けて「日本の大学が落ち目」だという事実を知らせてくれたのは海外メディアでした。

 「日本の学校教育はどうしてこれほど質が悪いのか?」という身もふたもない特集記事を最初に掲げたのは米国の政治外交専門誌であるForeign Affairs Magazine の2016年10月号でした。
その記事は日本の大学の学術的発信力の低下の現実を人口当たり論文数の減少(減少しているのは先進国の中で日本だけです)や、GDPに占める大学教育への支出(OECD内でほぼつねに最下位)や、研究の国際的評価の低下などをデータに基づいて記述した上で、日本の大学教育の過去30年間の試みは「全面的な失敗」だったと結論づけました。
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(②につづく)

 

 

 

孫市