会話と作文、小論文

フィンランド教育の特徴

フィンランドの学校は、普通は2学期制だが4学期制のところもあり、年間授業日は190日ほどである。日本より40日ほど少なく世界最低の日数である。塾もなく、校外や家庭での勉強時間も低い。

フィンランドの教育の特徴については、一般に、次のような点がよく指摘されている。

平等で機会均等な教育が付与されている。
子どもが自ら考えて学ぶことを基本に据えている。
教育権限が地方自治体、学校、教師に分散されている。
授業料が小学校から大学まで無料である。
教師の質が高い。

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日本における学校教育の問題には、次の2点が含まれていると想います。

①お金はあるが学校の勉強はやりたくない。

②学校の勉強は必要だがお金が無い。

①は子どもにとっては経済的な支援はあるけれども、勉強以外のことがやりたいか、勉強の目的を持っていないか、勉強以外のことにも勉強にも気のりせずにただ子どもという一種の身分の時間が過ぎるのを待機している状態。

特に3番目のケースが多いわけですが、80年代からは大学の入学式に親が出席、2010年代からは入社式に親が出席、それで子ども身分の期間が22年間、待機状態になっています。

この場合には、フィンランドの「子どもが自ら考えて学ぶことを基本に据えている。」が有効であり、アクティブラーニングもその流れと言えるでしょう。

②は進学しないと資格が取れず、資格が取れないと就業できないというケースか、学問の楽しさを知っているか、仕事=人の役に立って自らその経過と成果に充足できる実感を持っている状態。しかし経済的な支援が望めない。

三つとも全然違う系統のモチベーションですが、太いところではみんな同源で、何かしらやりたいことが先に存在しているけれども費用がハードルになっています。

この場合には、フィンランドの「授業料が小学校から大学まで無料である。」が有効であり、私立高校の公立並み負担への低減がその流れをくんでいると言えるでしょう。

しかし、日本でも小学校から公立高校までは、無料とはいかないまでも、90%以上の生徒が通えていることから考えて、「授業料が小学校から高校まで少額である。」は長年実現されており、それでも中学生以上の年齢のかなりの割合の人々が、学校の勉強を好き好んでやっているかと言えばそうではないようなので、問題の根本は①の「お金はあるが学校の勉強はやりたくない。」にあるようです。



とすれば、「勉強以外のことにも勉強にも気のりせずにただ子どもという一種の身分の時間が過ぎるのを待機している状態」を破棄するために、フィンランドの「子どもが自ら考えて学ぶことを基本に据えている。」ことの精度を上げて日本に合うように工夫するということが中心になるはずです。

その一例として、会話と作文は効果がありますね。

子ども自身の喉元まで出かかっている豊かな実感を、言葉にする練習です。
会話は眠っている実感を本人の分かるところまで蘇らせる効果。
作文は蘇ってきた実感を再び眠らせないための、顕在意識側への固定の効果。

潜在意識による思念の暗算と言いますか構造化は達人的なレベルですが、いったん言葉にして顕在化したことの構造化はそれよりはやり易く、また楽しいものです。そして何よりも他の人が見て分かるというのが最大の利点です。

このようにして子ども(に限りませんが)自身がアクティブラーニングの入り口に立つための最初の教材を作るわけです。

 

 

 

佐藤英幸