小中学生の不登校率が過去最多1.4%で13万人 でも85%は進学

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文部科学省は26日、問題行動調査の結果を発表。年間30日以上欠席した小中学生は13万4398人で、子どもにおける不登校の割合は2年連続で過去最多を更新した。毎年この時期に報道される不登校調査について不登校新聞の編集長・石井志昂さんは「全体の数ばかりで全然不登校につて理解が深まらない」と疑問を持っている。だれも教えてくれなかった“不登校のふつう”について解説する。

■Q:不登校って増えているの?

 小中学生では70人に1人、中学生だけだとクラスに1人程度が不登校です。

小中学生の不登校は13万4398人で、その割合は2年連続で過去最多を更新した (※写真はイメージ)© dot. 小中学生の不登校は13万4398人で、その割合は2年連続で過去最多を更新した (※写真はイメージ) 
 この数年、不登校は増えていますが、長期的に見れば20年間、12万人前後を推移しています。この2年間、発生率は過去最多を更新しましたが「増加の一途をたどっている」とは言えません(文科省調査)。

 しかし、「不登校が増えている感覚」を持つ人に多く出会うようになってきました。そういう人の話をよく聞いてみると「いじめのニュースをよく聞く」ことと、「身近に不登校を感じる機会が多くなった」ことがその感覚の由来でした。

 内閣府の調査では、15歳から40歳未満のうち「不登校経験者」だと答えた人は5.4%もいました。「5.4%」というと、全国の「鈴木さん」「高橋さん」「斉藤さん」を足した割合ぐらいあります。

 不登校は増加し続けているわけではありませんが、「あの人もそうだったんだ」と実感するケースは増えてきたのではないでしょうか。

■Q:そもそもなんで不登校になるの?

 不登校のきっかけとして、いじめを含む「友人関係」を挙げた人は半分以上います(54%/複数回答可)。ただし注目すべき点は、回答者1人あたりにつき、3つ程度の項目を「きっかけ」として選んでいたことです。

「友人関係」以外で多かった回答は、「生活リズムの乱れ」(35%)、「学業不振」(32%)、「先生との関係」(26%)など。私の取材でも、さまざまな理由が複合的に重なって不登校になっている人のほうが多いです。

 以前、話を聞いた20代半ばの女性は「いじめも受けたが、それだけではない」と言っていました。彼女が語った不登校のきっかけは「弱い人間だと思われたくなかったので誰にも相談できず苦しくなったこと」「勉強が手につかなくなって自分が許せなくなったこと」がきっかけだったそうです。

 彼女の場合は「いじめ」「孤立感」「学業不振」「自己嫌悪」などが複合的に重なりあっての不登校だと言えるでしょう。

 多くの人の不登校理由を「これ」と断定することはできません。一人ひとりの思いをていねいに聞くほかない、というのが答えです。

■Q:学校に行かない人って勉強はどうしてるの?

 不登校経験者のうち85%の人が高校へ進学しています。

 不登校からの高校進学率はこの数年、上がりました。不登校対応の通信制定時制高校が多くなってきたことなど受け皿が広がってきたことが理由だと考えられています。

 一方、小学校低学年から不登校をした人によれば、新聞、テレビ、マンガ、音楽などから「耳学問」で勉強しているので、さほど生活に支障がないという声も聞きます。

 不登校からの進路は本当にさまざまです。20代半ばで高校へ入る人もいれば、17歳から社会で独り立ちしている人もいます。公務員、会社員、俳優、八百屋さん、看護師、主婦、国連職員……、職種だけでもきりがないほど多種の進路先があります。

 どんな進路であっても、どの人生がよかった、悪かったなんてことは誰にもわかりません。しかし、たしかに言えることは、まわりのペースをあわせなくても大丈夫だということです。「中学3年生の2学期にしか学べない勉強」などないからです。勉強だけならあとからでも学べますし、学校に行ってないからこそ「大事な点」を学んでいることだってあるからです。

■Q:不登校って、いつ終わるの?

 これは子どもが不登校になって悩んでいる保護者から、最も多く受ける質問です。1日でも早く“ふつう”に戻ってほしいと考えるからでしょう。

 実は不登校の人のうち約3割が年度内に学校へ再登校を始めています。前述のように高校進学者は85%です。つまり、年度内に3割、高校進学ごろには85%の人が不登校を「終える」とも言えます。

 そう説明するとみなさんホッとします。しかし、本人の内面では葛藤を抱えている場合があります。私が取材したなかでも「自信が持てない」「朝、起きられない」「コミュ症になった」「人間関係にトラウマが残っている」「なぜ自分はふつうになれないのか」と悩みを抱える人はたくさんいました。

 こうした「不登校由来の悩み」が続く人に、数学者・森毅さんは講演でこんなアドバイスをしていました。

「あなたが『正解がわからない』と思うことに出会っても、すぐの正解は求めなくてもいいんです。もしも『一生、正解が解らない』と思うことに出会えたら、それはあなたの財産です」

 アドバイスの背景になっているのは「解けそうにない難問」に魅せられた偉大な数学者や科学者たちです。周囲からは理解が得られなくても「問い続けること」に意味があること、それを森さんは感じていたのでしょう。

 私自身も「なぜ自分は学校とあわないのか」と考えてきたことが、人生の指針になり、仕事の基盤にもなっています。不登校で悩んだことは、まさしく私の財産です。

 不登校は周囲が思った以上に早く終わることも多いです。しかし、「終わらない不登校」、つまり不登校を卒業してからも自分自身の問いと向き合っているからこそ、人生が豊かになった人もたくさんいます。そのことはぜひ知っておいていただけたらと思っています。

 

 

 

 

大西将吾