【自由の森学園】入試以外はテストなし!「自由な教育」の本当の意味とは【校長インタビュー】

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管理教育に疑問を呈した熱き教育者たちが、35年前に立ち上げた「自由の森学園」は、クリエイティブな職業を選ぶ卒業生が多いことでも有名です。ともすれば「自由」の一言で片づけられてしまいがちなその校風、本当の自由の意味を中学校の校長先生にお聞きしました。

(略)

――いわゆる5段階評価ではなく、自己評価が通知表に代わるものと聞いていますが、どんなものなのでしょうか。

中野「通知表というのはその名の通りで、通知されるものです。自由の森で行っているのは、『学習の記録』といって、半年間もしくは一年、どんなことを学んできたか、自分の変化を文章で書くものです。

学ぶと、びっくりしたり、自分の価値観が変わったりすることが必ずあるんですよね。どういう風にびっくりしたか、今まで信じていたものが変わったことで、どのように自分が変わったか、などを文章で書くんです。

これが結構大変なんです。中1の男の子は“おもしろかった、おわり”みたいな感じで終わっちゃったり。そういう子たちが、ここの学校でいろいろな経験やさまざまなことに出会っていくと、書くことが増えていくんです。

高3くらいになると、こちらが返事を書くのに窮するくらいの深い自己評価の文章を書いてきたり、間に合わないから締め切りを延ばしてくれと言いに来たりすることもあるんです。

中1の子が書けないっていうのは、書く材料が蓄積されていなかったり、あるいはそもそも“自分のことを書く”というやり方がわからなかったりするんです。

しかし、学年が上がるにつれて書きたいことはありすぎるくらいいっぱいあるんだけど、どれを選んだらいいのか自分で決めなくてはいけなくなってきます。これがすごく苦しい作業なんですね。」

(略)

――逆に楽しむには、どういうあり方が望ましいのでしょうか?

中野「早いうちに自分の心を解放することでしょうね。本性を出すとぶつかりますから、ぶつかりあう中で、自分のまずさに気がつくんです。

何もトラブルがないと、そういう気づきがあまり生まれないんですよね」

――「集団として育つ」といわれたのが新鮮でした。普通の学校だと、管理するためには集団を使いますが、その実、数字で競争させたりするのって、極端にいえば「自分さえよければ」というマインドになりがちだと思います。

こちらの学園では、クラスが一つの生命体のような感じで、誰かに問題が生じると、他の子が放っておかない力が自然と作用する、ということでしょうか?

中野「最初、自分のことばかり気にしていた子たちが、だんだんクラスのあり方まで考えるようになったりして。“クラスをよくしたい”って子も出てきます。

どういうふうによくしたいのかって訊くと、みんなが安心していられる空間をつくりたいだとか、誰にとっても居場所がちゃんとあるような、なんて言うんです」

――へえー、優しいですよね。

中野「そう、びっくりするくらい優しいですよ、ここの子どもたちは」

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――やっぱり人って、優しくされるから優しくできるっていうところがありますよね。現代の大人は抑圧されすぎているから、たとえば大の大人が駅でケンカになったりしますよね。ここだと、抑圧がないから余裕があって、人にも優しくできるんでしょうか。

中野「そうですね。ただ、それはこういうプログラムをやっているからこうなるっていうのはあまりなくて、この学校っていう場に身を置いておくと、自然にそうなっていくっていうのが正直なところなんです」

――今日、伺ったときに、すごくいい空間だなと思いました。山に囲まれた一帯で、静かですし。

中野「学校を取り巻く自然環境、緑の景色もそっくりそのままいただいて、ここにいる子たちは育っていくんでしょうね」

――学食でも思いましたが、みんなリラックスした、いい顔をしていますよね。

中野「そうですね。人なつっこいというか、人に対する警戒心があまりない」

――先生に対しても対等だと聞きました。

中野「私、呼び捨てで呼ばれていますから」

――へえ!

中野「うちの学校では“先生”と呼ぶ習慣がありません。○○さんとかあだ名で呼ばれています。入ったばかりの子は、最初、私のことを校長先生とか呼ぶ子もいるんです。私はそれが嫌で、呼び捨てでいいよって言うと、え?って顔をします。“そんなことできません”と言う子もいます。

これは極端な例ですが、“できません”を通して、その子が縛られてきたもの、自分で自分を縛ってきたものを、ほどきたくなってくるんです」

――先生方もユニークな面々が多いのでしょうか(笑) 授業の進め方も、教科書中心でなく、独自な展開をするとお聞きしました。中野先生にとってはそれが大変というより、楽しいのかな、と思ったのですが。

中野「そうなんですよ! よその学校の校長は授業をしないようですが、やらないと子どもが見えなくなってしまうし、授業をどうやって作っていくかってことを毎日考えると、楽しいんですよねえ…生徒たちの顔が浮かぶんですよね、こういう質問したらこの子はきっとこう答えるんだろうな、とか」

――校長先生も担当科目を持っているのですね。こんなに目のキラキラした大人の方とお会いするのは久しぶりでした。今日はどうもありがとうございました!

(後略)
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引用おわり

 

 

 

 


橋口健一