教師が話せる時間は10分だけ? ミネルバ大学が見つけた 「最も効率よく学習できる方法」

世界のエリートが今一番入りたい大学と言われているミネルバ大学。
「校舎」がない、教師は「講義」も「テスト」もしない、全寮制なのに、授業はすべてオンライン……。今、こんな「ありえない大学」がハーバード大学スタンフォード大学よりも人気を博している。その大学「ミネルバ」は、果たしてどのような授業を、世界中の才能ある生徒たちに行っているのだろうか? 以下リンク
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ミネルバ大学は、参加者全員が集中し、学習効果を最大限に高めることが可能な独自のプラットフォームを採用した。アクティブ・ラーニング・フォーラム(Active Learning ForumTM)と呼ばれるセミナー形式の授業を運営するために最適化されたもので、従来の教室で行う授業では実現が不可能なさまざまな機能が実装されている。

 すべての授業は教員を含め20人以下のセミナー形式で行われる。基礎科目や講義形式の授業は存在しない。授業には事前課題を提出した学生のみが参加でき、学生同士のディスカッションを中心に授業を進行させるため、90分間のうち、教員が話せる時間は合計10分と定められている。

 これだけでも既存の教室で行われるものとは様相が異なることが予想できるだろう。

 通常、大学で行われる授業は、教員と学生が教室という同じ空間でやり取りをする。黒板かホワイトボードがあり、教員が講義、学生がプレゼンテーションやディスカッションを行うような形が一般的だ。多くの授業は、教員が半分以上の時間を講義、解説や発表のフィードバック・コメントに費やし、学生の発言・グループ討論といった時間に授業の8割以上が当てられるようなことはほとんどない。
 ミネルバ大学では、すべての授業を「完全なアクティブ・ラーニング(Fully Active Learning)」で行うという原則を適用し、授業における講義を禁止するなど、学生主体の学びを厳格に適用している。

 ハーバード大学前社会科学部長であり、ミネルバ大学のアカデミック部門のトップに就いたステファン・コスリン教授の定義によれば、すべての学生が授業中の最低でも75%の時間をグループワークや議論に参加するといった能動的な作業を行っている必要がある。通常の反転授業は、授業前の予習を学生に課し、講義とグループワークとQ&Aを軸に授業を進めるが、ミネルバ大学のセミナーでは学生は使用する教材の基礎知識とコンセプトを予習し、授業ではクラスメイトたちとのディスカッションやディベートの中で予習してきたコンセプトを用いることに注力する。クラスメイトや授業後の教員からルーブリックに基づいたフィードバックを受けることで、コンセプトに対する自分の理解度を確認し、強みと弱み、改善すべき点を効率的に把握することができる。

 こうした効果的なインプットに加え、ミネルバ大学では学生が身につけたコンセプトを「はじめての場所で、初体験のプロジェクトで、はじめて一緒に働く人に、学んだコンセプトが実際に有効に使えるか試すための機会」を用意している。

 学外団体とのプロジェクト学習を行い、自分がコンセプトをきちんと理解しているだけでなく、実社会で応用できるか確認することができるアウトプットを組み合わせている。このインプットとアウトプットの組み合わせを繰り返すことで、学生たちの「実践的な知恵」は鍛えられていく。

ミネルバ大学は、思考・コミュニケーション技能はそれぞれの技能を構成しているコンセプトを意識しながら、繰り返し実践を積み重ねることでのみ習得できると考えている。少人数によるセミナー形式の反転授業と、実社会での経験学習を組み合わせて学習する方法を採用していることは述べた。さらに、このセミナー形式の授業には、最新技術の活用によって、従来の大学の授業では実現できなかった学生たちが能動的に授業に参加できるさまざまな仕掛けと、教員が一人一人の学生の特徴を知ることのできるサポート・システムが組み込まれている。

 ミネルバ大学のカリキュラムや教授法を設計したコスリン教授は、心理学、脳科学認知科学の分野における長年の研究から、人が最も効率よく学習できるのは以下の3つの条件が揃ったときだと主張する。

(1)脳を通常より負荷をかけた状態で稼働させる
(2)繰り返し練習が行える環境で学ぶ
(3)能動的に授業に参加できる状態

 これはスポーツ選手が筋肉を鍛えるときと似ており、実際にプレーしているときをイメージしながら、自分が体のどの部分を鍛えるか意識しながら集中してトレーニングを行うことと通じるものがある。

 コスリン教授が講義形式の授業を「最も学習効果の低い授業形式」と考える根拠は、講義形式では脳の一部しか使わず、積極的な参加が難しいため、徐々に集中力が途切れてしまうからだ。

「少人数、約12~20人以下のセミナー形式が最も議論が活性化すると言われている」とコスリン教授は解説する。

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少人数で互いに会話することでインプットとアウトプットが自然と行える環境が用意されている。しかも能動的でありそこには元来の“勉強”の姿はどこにもない、今までやってきた勉強とは何だったのだろうか?

 

 

 

直永亮明