企業系列学校の調査。現状→近未来に向けて

かつての日本の高等教育は、企業系列の学校法人が多かった。そこでは系列企業で働くのに必要な知識を習得→卒業後は系列企業の従業員として活躍できる人材の育成を目的としていた。
しかし今後は、以前とは異なる目的で企業が学校を経営するパターンが増えるだろう。30年後の教育の場を予測するためにも、現在の状況を調査した。

■企業系列の大学(学校法人)
流通経済大学日本通運、学校法人日通学園も参照)
東京工芸大学(源流は東京写真短期大学)(小西六、現コニカミノルタ)
流通科学大学ダイエー中内学園
・森村学園(ノリタケカンパニーリミテド
湘北短期大学ソニー
公文学園日本公文教育研究会
東放学園東京放送
・杜若高等学校(名古屋鉄道
麻生グループの学校法人麻生塾
穴吹工務店グループから独立した学校法人穴吹学園
・自動車メーカー系の学校法人が運営する自動車大学校の例もある。
・学校法人雲雀丘学園の歴代理事長はサントリー社長。
・近江短期大学も当時の近江絹糸株式会社により創設。
トヨタ自動車中部電力JR東海が共同で出資した海陽中等教育学校
豊田工業大学トヨタ自動車の資本により設立された大学。
 トヨタグループ3校の企業内学校からの進学は有給養成制度もあり。
大同大学(旧大同工業大、大同特殊鋼系列。前身は大同工業短期大学)  も企業内学校大同特殊鋼技術学園からの進学は、有給養成制度整備
東洋製罐の東洋食品工業短期大
・旧大洋漁業の幾徳学園神奈川工科大学
島津製作所の島津学園京都医療科学大学(前身の京都医療技術短期大学含む)
住友金属清真学園
・星製薬の星薬科大学
・山下汽船の桐朋学園同志社香里中学校・高等学校
・会社のみならず業界全体で設立・運営に関与しているケース
 →産業技術短期大学は鉄鋼業界(日本鉄鋼連盟)の出資
流通科学大学も現在では流通業界全体での運営下に置かれている。

■財閥系
安田財閥保善高等学校安田学園
浅野セメントの浅野学園
・三菱・岩崎の成蹊学園・三菱商業学校(旧 慶應義塾大学分校)
・三菱商船学校(現 東京海洋大学
大倉財閥の寄付によって設立・運営された東京経済大学関西大倉学園
 善隣商業学校(現:善隣インターネット高等学校)(韓国)
・東急・五島の武蔵工業大学と東横学園(現東京都市大学)、亜細亜大学
・他武蔵学園(根津家根津育英会東武鉄道
甲南学園伊藤忠
松山大学(ニッタ)
近江兄弟社中学校・高等学校。
慶應義塾大学理工学部王子製紙藤原銀次郎が私財で設立した
 藤原工業大学が後に慶應義塾に寄贈されたもの。
早稲田大学理工学部も実業家の竹内明太郎の寄附で創設されている。

■企業系列高校
トヨタ工業学園トヨタ自動車(株)運営
 全寮制で3年間、トヨタのものづくりの基礎をみっちり学べる。
 部活動も盛ん。
 高校卒業後に入。毎月の生徒手当と年2回の特別手当がもらえる。
 希望者は大学進学も可能。奨学金をもらい豊田工業大学に通える
 進学支援制度あり。
デンソー工業学園/(株)デンソー運営
 寮あり/まず採用試験を受けて入社→高校生とはいえ社会人の待遇
 (手当・賞与・福利厚生等)を受けて勉強。
 入学金・授業料一切不要。仕事は免除され「訓練生」として学ぶ。
 選抜試験に合格した若干名が、社会人入試で豊田工業大学進学可能。
日野工業高等学園日野自動車(株)運営
 寮あり。入学と同時に社員となり、訓練生という立場で学ぶ。
 生徒手当と年2回の特別手当がもらえる。
日立工業専修学校/(株)日立製作所運営
 入学にかかるお金として12万円が必要だが、その後の学費や寮費不要。
 しかし社員ではないため、特に手当はもらえない。
 全寮制で、部活動や国家資格取得などに全員が励み、スペシャリストを目指す
 卒業後は、日立製作所をはじめ、日立グループ各社に入社。

企業内学校のメリットとデメリット
・上記4校では、通常の勉学以外に、将来大企業の生産現場で活躍できる
「ものづくりのプロ」になるべく、たくさんの技能実習を受ける。
 中学卒業の15歳から叩き込まれるため、高卒・大卒で入社してくる人
 よりも、一歩先に技術力を高めている
 手当をもらいながら高校に通えるとはいえ、一般の高校生とは大きく
 異なるのが、授業を受けることが「業務」、「訓練」であること。
 給与取得または学費免除されており、より高い責任感も求められる。

 

 

 

佐藤有志