「夏休みの宿題はいらない」 公立小学校の現役校長が変えたい“昭和的な”教育

夏休みは、好きなことに没頭できるチャンスなのに、宿題をする時間が邪魔をしていると思いませんか。

東京都小金井市立前原小学校の松田孝校長の言葉を紹介します。

リンクより一部抜粋

ー夏休み中に民間のキャンプ(体験型の課外教室)に参加したり、家族と旅行や遊びを楽しんだりする子どもたちもいますよね。

夏休みって「休み」なわけですから、その過ごし方って基本的には家庭の問題ですよね。もちろん、子供への教育に高い意識を持っている家庭や世帯収入が高い家庭であれば、民間の科学実験教室やキャンプ教室だとかに子供を参加させることができるでしょう。

ただ、そうではない家庭も増えてきている。共働きの世帯も当たり前になっている時代です。

ー「夏休みの宿題」を問い直すためには、ライフスタイルの変化もきちんと把握する必要がありますね。

多様な家庭環境に対応するために、もっと自由に過ごせるようになったほうが良いと思います。一方で、せっかくの「夏休み」という長期休暇が、「自分にとってどんな意味があったのか」を振り返ってもらう機会はあったほうが良いかなとは思います。

もちろん「俺、なにもできなかったよ」でも良いと思います。私自身がそうでしたから(笑)。そもそも、夏休みの最初から最後までちゃんと計画を立てて、そのとおりに過ごすなんて、なかなかできないですよね。

ーどのような夏休みの過ごし方が理想なのでしょうか。

休みを生かしたいのであれば普段は体験できないようなことをしてほしい。例えば「夜、保護者の人と山手線に乗って一周してきみたら」などと呼びかけたいです。そうすれば、東京は外国人の人が身近にいる国際都市だって感じることができるでしょう。

コリアンタウンのある新大久保とか、米空軍の基地である横田基地の周りとか、外国の人が多い群馬県太田市とかでもいいですよ。代々木上原には東京ジャーミーというイスラムのモスクがある。そういうところで異文化を肌で感じるのは絶対に良い経験になる。それは絶対に役に立つ。

いまの子供達は将来、いろいろな国や宗教の人と交わる時代になる。多様性の時代を生きることになります。国、言葉、文化、宗教が違う人達が日本にはたくさんいる。せっかくだから、長い休みのどこかで、お家の人と一緒に異文化に触れ合うのは良いと思います。

あとは裁判所での裁判傍聴。これもおすすめです。被告人がいて、裁判官が出てきて、形に決まった判決文を読む。そういうのを実際に見ることもいいと思います。税金がこういうところにも使われていると自覚することもできますよ。

――せっかくなら、普段の学校生活では見ることはない現実の社会を見る機会にしたほうが良い、と。

「宿題」というよりは「体験」ですよね。自分の目で見て体験して考えられることっていっぱいある。形式的な上辺の知識ではなく、本当の人の生きざまにいっぱい触れてほしい。

良いも悪いも含めて、多様性にいっぱいふれてほしい。東京地裁はタダだし、山手線を回るのだって電車代だけ。保護者が少し意識するだけで学べる機会は十分あると思います。

夏休みになると、いろいろな団体が子供を集めてキャンプをやったりしますよね。でも、基本的にはあんまり「いいな」とは思わない。というのも、きれいに整いすぎて、予定調和の成功体験しかない。成功するものが決まったものが用意されているだけですから。

(中略)

そもそも夏休みに限らず、「宿題」という概念そのものがいらないですよね。

ーえ!宿題がいらないんですか?

「家で学ぶ」ということを否定しているわけではありません。子供達にとって学校が学ぶ場になって、子供たちが興味関心を持てば家庭でも学ぶ。別に宿題という概念ではなくて良いと思います。

宿題って、「学校での学習じゃ足りないから、足りない部分は自分でやっておけ」と、学習不足を補うためのものですよね。そうすると子供達も「やらされている」という感覚がどうしても強くなってします。

「自分が将来こうなりたい」「自分が興味や関心ある分野をもっと追求したい」ということを家でしっかりできるような学びのあり方を、子供達と一緒に作っていきたい。

いま、学校の学びが信用されていない。意識ある親であれば、子供を塾に通わせます。小学校から中学校への受験で、学校の先生に進路指導の相談なんてしないですよね。みんな塾で相談していますよ。学校が保護者から信用されていないという現状があります。

(後略)

 

 

 

 

北尾璃枝