子どもの心を開くには、まず子どもと一緒に考えること  「6割が不登校経験」高校の教え(1)

子どもの心を開くには、まず子どもと一緒に考えること  「6割が不登校経験」高校の教え(1)

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 学校に通い続けるのがしんどいなあと感じている人もいるかもしれません。いまいるところと「別の道」を選んだ人が多く通う高校が北海道にあります。不登校の子、やんちゃしていた子、発達障害と診断された子、特待生だった子。そんな子どもたちが心を閉ざしてしまう言葉があるそうです。子どもたちと日々向き合う先生に「別の道」を選ぶ大切さについて聞きました。(朝日新聞社会部記者・山根久美子)

・大人に心閉ざした子どもたち

北星学園余市高校
 1965年創立。不登校や高校中退生など様々な事情を持つ子を受け入れてきた。創立当時から勉強に伸び悩む子どもを、88年からは全国から高校中退者の転入、編入を受け入れている。その教育方針が次第に注目され、テレビや新聞でも取り上げられている。

「教員免許を取った後にそんなドキュメンタリーをテレビで見て、『こういう学校、面白そうだな』と思って就職したのが私です」

 そう話すのは、同校で教員として働いて18年目、一昨年まで教頭を務め、今は学校の広報全般を担当する英語教諭の田中亨さん(41)。学生の約6割が不登校を、4人に1人は非行を経験してきたといい、幼い頃から大人に心を閉ざしてきた子も少なくありません。そんな子どもたちとどうやって向き合っているのか。田中さんに話を聞いてみました。

・距離感、取りたいように取れる環境
 ――どんな生徒が通っているのでしょう。

 不登校の子、やんちゃしていた子、発達障害と診断された子。勉強やスポーツができて特待生として入学したもののつまずいて転校してくる子、家族との間に葛藤を抱えていてとにかく家から出たい子、非行グループから抜け出すため地元から離れたいという子もいます。いろんな子がいます。

 年齢層も幅広い。いわゆる現役で進学してくる子は7割強。あとは高校1年の年齢よりも上で、20歳前後の子もいます。

 ――入学当初はどのような雰囲気? 

 やんちゃっ気のある子は、最初は同じやんちゃ同士で友達になっているケースが多いですね。おとなしい子は、半月くらいは休み時間も席を立たず様子を伺っている子が多いですね。

 でも先輩もみんな同じ思いをしてきたので、下宿先や校内でフォローしてくれます。まずは下宿先でつながりができ、次は学校で、という形で徐々につながりを増やしていますね。

 生徒に多様性があるということは、どこかに合わせなくても生きていけるということです。これまで他人の目を気にしてきた子が、自分の空間や他人との距離感を取りたいように取れる。それが特徴かもしれません。

・一人の教師が向き合うのではなく
――教師はどうやってコミュニケーションを取っているのでしょう。

 全員、とことん生徒と向き合います。

 例えば深く考え過ぎて言葉が出ない子。「これ好き?」と聞かれて「好きではないけど嫌いってほどでも……」と考え出すと、言葉が出てこない。そういう子とは一緒に考えるプロセスを大事にします。

 迷いながら少しずつ言葉を引き出していくと、「あ、自分はこういうことを考えていたのか」と、その子が自分の考えと向き合っていけるようになる。

 誰に話しても理解してもらえない、と閉ざす子も当然います。日常生活の中で少しずつとっかかりを見つけて話しかけるのですが、そこで大事なのが1人の教師で抱えないこと。

 人間だから合う合わないは絶対ある。クラス、学年、部活、趣味、下宿先。いろんな単位の集団の大人が少しずつその子に話していくんです。誰か1人に自分を開示できると、最初は能面みたいだった子も、その周りの人や最初に開示した人に似た人にも広げていけるようになるんですよ。

 

 

 

 

風来坊