子どもの心を開くには、まず子どもと一緒に考えること  「6割が不登校経験」高校の教え(2)

子どもの心を開くには、まず子どもと一緒に考えること  「6割が不登校経験」高校の教え(2)

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・子育て、親だけではできないことたくさん
 ――自分の子どもが突然親に心を閉ざした時、親もあの手この手で向き合おうとすると思うのですが、田中さんから見て「これはまずいな」という声かけは?

 子どもと向き合う時はまず、最後までしっかり聞いて共感してあげるのが大事。子どもが話している途中で「わかるけど、それ違うじゃん」とか言っちゃったらもう、台無しですね。

 関係が近い親ほど、そういうことを言ってしまう傾向があるように感じます。うちの学校の面談でも、子どもに質問しているのに親が答えようとして、「お母さんに聞いているんじゃない、この子だから!」っていうの、多いですよ。親心はわかりますが、まずは聞くのが大事です。

 ――まずは聞く。簡単そうで難しいですね。

 結局親もひとりの人間なので、自分の人生ベースでしか物事を見られない。自分がどう育ててもらったか、でしか人生を知らない。
 こんな家庭もある、あんな家庭もある、というサンプルはたくさん知った方が良いですね。もちろん最初は首をかしげるようなことも多いでしょうが、自分だってそう見られているかもしれない。

 外で悪い仲間作ってやんちゃする子って、やんちゃが楽しいって子もいるんですが、家の中の関係が悪くて家にいたくなくて外に飛び出すパターンも多いんです。子育ては親がするものだけど、親だけではできないことがたくさんある。それを認めて、外の力を借りる勇気が必要ですね。


・自分の人生ベースで判断しない
 ――親子関係だけでなく人間関係全般に当てはまりそうです。

 そうなんです。人間は大人も子どもも、それまでの人生で得た、生き方の拠り所となる「杖」を持っていると思うんです。それを突然取られそうになると、どうやって生きていけば良いのかわからない不安に襲われる。

 だからその杖を離すのを怖がって、みんな自分の人生ベースで物事を判断する。大人は子どもの考えを切り捨て、子どもは心を閉ざしてしまう。けど、子どもも親もたくさんのサンプルを知れば、新しい杖はいくらでも作れるんです。
 
 うちの学校に子どもを通わせる保護者にも、ここに来て自分の人生を総ざらいした、という人がいっぱいいます。
 子どもは、親だけでなくできるだけいろんな大人が関わって育つ方がいいと思います。地域のコミュニティー、親戚、子どもに関する施設。親も子どももいろんな人生のサンプルを知っていけば、生きづらいと思うことがあっても新しいよりどころを作れると思います。

・生きているだけで幸せ、必ず来る
 田中さんへの取材に先立ち、北星余市の卒業生の女性と彼女の父親に話を聞く機会がありました。
 女性は自分も周囲も大事にして、父親は娘の選択を尊重して見守っている姿が印象的でした。かつては激しくぶつかり合い、どん底まで傷つけ合ったからこその関係です。

 生きるのがしんどい…そんな思いを抱えるみなさんへ。
 つらい時、いつ楽になれるかわからなくて投げ出したくなることもあると思います。
 親や友達とうまくコミュニケーションが取れなくても、勉強や仕事で思うような成果が出せなくても、それでも、ただ生きているだけで幸せだと思える時間は誰にも必ず来ます。それまで、時には北星学園余市高校のような施設の手も借りて、自分を守ってください。

 

 

 

 

風来坊