識字率70%超え!~寺子屋の仕組みがすごい~/Japan 知識以外に人間としての生き方を学ぶ

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識字率70%超え!~寺子屋の仕組みがすごい~/Japan

寺子屋第1弾!皆さん、「寺子屋」と聞いてどのようなイメージが浮かびますか?江戸時代に各地に広がっていたこの制度。子どもの教育を考える上で、寺子屋について知ることが、私達に何らかのヒントを与えてくれるかもしれません。(第2弾「なんと7000種!和紙で作られた寺子屋の教科書/Japan」はこちらから)

寺子屋は諸外国よりも高い識字率を実現できた江戸時代の教育機関
寺子屋とは江戸時代(1603年~1867年(諸説あり)に普及した、読み・書き・そろばんを教える庶民の教育機関です。幕府や藩の援助や介入のない独立運営でした。古いものは室町時代後期にまで遡ることができると言われ、寺院における師弟教育から始まったことから「寺子屋」の名称が残ったと言われています。
そしてその寺子屋の数。江戸末期には江戸府内でなんと4000カ所、日本全国では15,000~20,000程あったようです。更に驚くのが、江戸時代の就学率。諸説ありますが、70~86%(1850年頃:農村を含めた江戸府内)と言われています。
ちなみにイギリスの大工業都市で20~25%(1837年)、フランスでは1.4%(1793年初等教育は義務教育で無料)、モスクワで20%(1920年)というデータがあります。
江戸時代がどんなに教育熱心だったか分かりますね。またこの結果、幕末の成人男性の識字率も70%を超えていました。ちなみに同じ時期、ロンドンの識字率は20%、パリでは10%未満となっています。寺子屋は、世界でも類をみないほどの成果を挙げていたのです。

●今の小学校との違いは、教える人・内容・費用
以下の表に、現在の小学校と寺子屋の違いを比較してみました。規模や入る年齢、就学期間、(1学級の)生徒数もほぼ現在の小学校と同じです。寺子屋は現在の小学校に比べ1日の授業時間は短いですが、休日数が少ないため総授業時間はあまり変わりがないようです。違う点は、教える人、教える内容、費用のようです。

●ボランティアで教える先生たち
寺子屋で教えていたのは、なんと現役の村役人や僧侶、神官、医師、町人。本職の仕事をする傍らで、子どもに指導をしていていました。寺子屋の先生は、お師匠さんと呼ばれており、お師匠さんはほとんどボランティアで、授業料などは生活の足し程度でしかなかったようです。
なぜ全国で1万5千もの塾ができる程大勢ボランティアの先生がいたのでしょうか。それは先生になると、たとえ身分は町人でも、人別帳(戸籍)には、「手跡指南」など知的職業人として登録され、生徒からは「お師匠様」と尊称で呼ばれ、地域でも知識人、有徳者として尊敬されたから。お師匠様たちは物質的には豊かでなくても、近隣の人々に感謝され、尊敬されるという精神的な価値で十分満足できたのです。
現在は大学で教職過程を履修した上で教員免許を取得し、教員採用試験に合格した後教師となります。教師はもちろん本職です。

●完全オーダーメイドのマンツーマン教育!!
現在の小学校では勉強する科目が決められており、皆が同じカリキュラムで学ぶことになります。
寺子屋では読み・書き・そろばんを中心に、地理教育、裁縫教育、農業教育など生活に必要な実用的知識を教えていました。そして基本教育習得後は、百姓のお子様には「百姓往来」、商人のお子様には「商人往来」と相場についての本、職人のお子様には「番匠往来」など、親の職業や本人の興味に合わせた往来物(今で言う教科書)を用いて指導していました。
膨大な量の中から師匠がその子にあった往来物を選びます。往来物は人それぞれ違っており、一人一人の年齢や興味、その子が将来就くであろう職業によって教育方法を自由に変えていったのです。完全オーダーメイドのマンツーマン教育だったのですね。

●区教育は知識だけでなく人間としての生き方を学ぶこと
現在も先生方は休日やプライベートの時間を返上し、熱心に子どもへの指導を行っています。教育制度においても、日々議論を重ね、思考錯誤されていますよね。どの時代においても、子どもへの教育については大事な課題となっています。
江戸時代と現在とでは社会背景も異なりますし、一概にどちらが良い!と断言はできないと思いますが、寺子屋にも通ってみたいなと感じました。教育の本質は、生徒が尊敬する先生に師事して、知識だけでなく人間としての生き方を学ぶこと。昔のあり方を学びながら、これからの教育の在り方についても考えていけたらと思います。

 

 

 

今井勝行