学歴が高くなるほど選択肢が狭まる

大学で建築学科を出て大手のハウスメーカーに就職し、そして何年もたたずに辞めていく。そんな人たちをたくさん見てきた。
勉強をするのは選択肢を広げるため?安定するため?大学を出たせいで逆に選択肢が狭まってないか? 面白くない人生に自ら足を踏み入れていないか?
中国で最高学歴を持つ方が、麺レストランの経営に踏み切るまでの葛藤が書かれた記事を紹介します。

以下リンクより引用・編集
米粉は中国の南方で好まれる主食だ。日本人がよく知っているビーフンより太い。ちょうどスパゲティといったところか。
ふと配膳口の上を見ると、壁には「碩士(大学院生)米粉」と書かれていた。なぜ、大学院生なのか。この会社が生まれた経緯と深く関係している。

「中国人、韓国人、日本人……アジア人は米を食べる。30億人が食べるこの食材で、世界一流の飲食ブランドがなぜないのか」
そう語るのは、覇蛮の運営会社「伏牛堂」の創業者で、最高経営責任者の張天一(チャン・ティエンイー)だ。「その理由はアジア文明が過去200年、世界で十分に強くなかったからだ。将来、覇蛮は金拱門(チンコンメン)のように、飲食の代名詞になりたい。30年後、宇宙人が地球に攻めてくるとき、『覇蛮とは何か?』と研究するほど、たくさんの店を構えたい」。金拱門は、中国でマクドナルドを運営する会社だ。

天一は中国の最高学府・北京大学の大学院で金融法を学んだ。2014年の修了後に選んだのが、弁護士でも、公務員でもなく、米粉レストランを開くことだった。

~中略~

米粉レストランをビジネスとして考えていなかった天一。だが、言われて調べてみると、「中国の飲食業界は非常に巨大だが、発達は不十分だった」。天一が研究してみたのは、ファストフードの雄・米マクドナルドだ。「1955年に成立し、70、80年代に急速に発展した。理由はとっても簡単。ベビーブームに乗った」。天一はすぐにひらめいた。「このモデルは現在の中国にも当てはまる。90、2000年代に産まれた人口が2億人以上いる。彼らは、親の世代のように貯蓄を好まず、消費意欲が盛んだ」

こうして創業を決意した天一だが、周囲の反対はきつかった。ふるさとを出て、北京大で法律を学ぶ我が子の自慢が生きがいだった父親は、北京大の院生が米粉レストランを開くというニュースの当事者が息子であることを新聞で知り、天一は電話口でしかられた。テレビ番組で知り合った著名企業経営者が、「この米粉屋は成長しないよ。やめなさい」とアドバイスをしてきたこともあった。そして、誰もが、「これまでずっと教育を受けてきたのに、どうして米粉レストランを開くことを選んだのか」と天一の行動を奇怪な目で見た。

それではなぜ、天一は弁護士や公務員を選ばなかったのか。「父母は公務員になって欲しいと思っていたが、大学を出るにあたっては、やりたいことをやろうと思っていた」と言う。

天一は子どもの頃から個性にあふれた子どもだった。数学の問題では、問題用紙の前のほうにある選択問題や、穴埋め問題など簡単な問題ではなく、最後に出てくる難易度が高い問題の解答に力を入れた。「当然、トップにはなれないが、俺にはそれがすごいと思えた」。学生の時に法律事務所でインターンをしていた。だが、「毎日、スーツを着て革靴を履き、(北京のビジネスセンター)国貿に出勤する。そんなものと思わされてしまうのが、いやだった」。そこで選んだのが、周りが誰も考えない飲食店経営だった。

天一が大学を出るころ、弁護士の数がちょうど余り気味だった。「交通規制が敷かれたとき、フェラーリも、質の悪い車も同じように停車させられる。そんな時は、自転車の方が早く走れる。大学を出るとき、みな同じような道を選ぼうとする。その対価は渋滞だ。そこでは、自転車が最も速いのだ。差異化こそが、競争で優位に立つための戦略になる」

4人の仲間で始めたレストランだが、最初は米粉仕入れも、牛肉さばきも、調理も配達もすべては自分たちで行った。創業者でありながら、現場の労働者でもあった。だが、こうした仕事の過程で、野菜を売るおばさんや、ゴミ収集のおじさん、警備員のお兄さんなど、今まで接したことのなかった人々との交流が生まれた。彼らは生活条件が必ずしもよくない状況でも、積極的に生きていた。

弁護士事務所の実習で、北京最高層だった「国貿三期」に出勤し、北京の街頭を俯瞰する。大学を出る前、そういった形でしかなかった社会との接触が、自らの創業によって一気に補完されていった。

会社がある中関村は、全国から創業を志した起業家が集まり、ベンチャーがひしめく。当然、経営者の交代や、会社そのものの消滅も珍しくない。だが、創業から4年、「覇蛮」を掲げる伏牛堂は成長を続けている。現在、50店舗だが、「北上広深」と呼ばれる北京、上海、広州、深センの4大都市を中心に2年以内に200店舗まで増やす考えだ。アリババ集団と組んで北京市内では無人レストランの展開も始めている。また、オンラインでの販売も増やしたいと考えている。

 

 

 

仙人掌