元楽天副社長が作る幼小中“混在校”の武器

■元楽天副社長が作る幼小中“混在校”の武器
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2002年に楽天の取締役副社長を退任して以降、「学校を作る」と言って教育畑に転身した本城慎之介。16年の月日を経て2018年6月下旬、「軽井沢風越学園」の設立認可を長野県に申請し、ようやく積年の思いが形となる段取りがついた(前編「30歳で楽天を辞めた元副社長が私財を投じて学校を作る理由」からお読みください)。

 2年間の公立中学校校長の経験、「森のようちえん ぴっぴ」での修行、そして幾多の迷いを経て、本城が最終的に辿り着いた理想の学校。それは、かつて志向していたエリート教育の実践でも全寮制中高一貫校でもない。

 いったい、本城はどんな学校を作ろうとしているのか。その革新性や武器は何なのか。

(略)

「僕らがやりたいのは、それぞれ一人一人が幸せだと実感を持って生きられるような状況を作るということ。単なるリーダーやエリートの育成は、新たな競争や疲弊を生むだけで、幸せになれるのか分からないし、そういうことをやっている人や学校はたくさんある」

 「そうではなくて、それぞれの子が幸せだと思える状況に必要な力を、計画的に身に付けていけるようにしてあげたいんですね。ある子はプレゼンテーションの能力、ある子はプログラミング、ある子は誰とも話さないけれども黙々と何かを作り上げる能力が必要かもしれない。だから、中3で卒業する予定の35人が、35通りの進路を選んでくれることが理想です」

 こうしたコンセプトを実現するためのひとつの武器が幼小中の混在である。

●同じ場所で混ざり合うメリットとは

 幼小中一貫校自体は珍しいものではない。付属幼稚園、小学校、中学校を持つ私立大学はたくさんある。しかし、それらは物理的に校舎が区別されており、同じ校舎で過ごすわけではない。同じ場所で幼稚園から12年間をともに過ごす一貫校は本城いわく「全国初かもしれない」。そのメリットは多い。

 まず、校舎や教室、あらゆる設備を共有できるため効率的であり、その分、浮いたコストを教育の本質にかけることができる。さらに、異年齢が混ざりあうことで、創造的なシチュエーションを作りやすいと本城は言う。

 「校舎の中では幼児エリアと小中のエリアがありますが、トイレや図書館など本当に出会う場所がたくさんある。カリキュラムでも、中学生の国語と家庭科と美術が合わさったような授業があったときに、幼稚園の子がどんな絵本や読み方だと喜ぶか、すぐに試すことができる。そこから中学生の絵本作りやおもちゃ作りが始まるかもしれません」

 「何気ない遊びの場でも、泥と水を使った幼稚園児の遊びに中学生が混ざったら、手助けしているうちに理科の実験につながる発見があるかもしれない。自然な交流から学びや成長が生まれる中で、力を発揮できたり、自分の得意なことを伸ばせたりできるはずなので、そういった意味ですごく創造的な人間に育つのではないかなと思っています」

(後略)

 

 

匿名希望