学校給食は「残すな」より「食べ残せ」が正しい~完食指導が学校嫌いとメタボを引き起こす~

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■給食のことで苦しんでいる子どもたちが今もいる
読者の中にも、子どもの頃に学校の給食や家庭での食事において、苦しい思いをしたことがある人はいると思います。そして、今現在でも給食・食事のことで苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。子どもたちを苦しめる問題は次の2つに分けられます。

1. 小食で食べる量が少ない(量の問題)
2. 苦手な食べ物がある(質の問題)

私は長年小学校の教師として数多くの子どもたちを見てきましたが、給食がいじめや不登校の原因になることもありました。そのほかにも強制的な給食指導・食事指導にはいろいろな弊害があります。

●強制的に食べさせられた食べ物に対して嫌悪感を持ち、一生苦手になることもある
●食事の時間が怖くなり、食べること自体に否定的な感情を持つようになる。それは生きることの否定にもつながりかねない
●しかられ続けることで自己肯定感が持てなくなり、自分はダメな人間だと思うようになる
●強制的に食べさせる先生や親に対して恐怖感を持つようになり、それが他者不信感につながることもある
●毎日苦しみ続けることで子どもらしい快活さがなくなり、鬱的な状態になる
こうならないためには、どうしたらいいのでしょうか? まず食事の量についてですが、これは極めて個人的かつ生理的なものであることを理解しておく必要があります。大人にも、小食の人もいれば大食の人がいるように、子どもたちも百人百様なのです。たとえ同じ学年でも、体の大きさ、運動量、代謝量などには個人差があり、当然、必要なカロリー量も違ってきます。

■給食の完食を強制するのはナンセンス
もちろん、食品ロスを減らすためにできることをみんなで協力して行うことは大切です。冷蔵庫の管理をして期限切れで廃棄ということをなくす、冷凍保存の工夫をする、レストランのメニューに小盛りや中盛りの選択肢を入れる、「少なめで」と言う勇気を持つ、などです。でも、それ以上のことはしてはいけないのです。

子どもたちに給食の完食を強制するなどまったくナンセンスです。子どもが無理に完食することで難民や貧困の人たちが救われるわけではありません。その子が食べ残すことが、まるで難民や貧困の人たちを苦しめることでもあるかのように脅すのはやめるべきです。

もし、お宅のお子さんが給食で苦しんでいるなら、大人の交渉力を発揮して救ってあげてください。「以前、無理に食べさせようとしたら、登校渋りになって……」「一口だけでいいからと言ってナスを食べさせたら、吐いてしまいました」などといった言い方は効果があります。「家でも好き嫌いをなくそうと頑張ってるんですけど……」と伝えると、先生も「家でもやってくれているんなら、まあいいか……」と思ってあきらめやすくなります。

さらに問題提起させていただくと、私は「給食は食べ残せ」と教えてもいいくらいだと思っています。というのも、食べすぎこそが現代人の不健康の一大要因だからです。実際に、市町村の保健師がメタボや生活習慣病の予防指導をおこなうときには、「満腹になるまで食べない。食べ残す勇気が必要」と教えています。

アンチエイジング研究の第一人者・白澤卓二氏は、次のような研究を紹介しています。

ウイスコンシン大学のワインドラック教授の研究によると、ヒトに近いアカゲザルを使った実験で、カロリーを70%に減らした(腹七分目)猿たちは、病気の発症率や死亡率、認知機能、学習機能などにおいて老化度合いが顕著に少なかった」。

金沢医科大学の古家大祐教授によると、「肌から髪の毛、筋肉、骨、内臓、脳……。頭のてっぺんからつま先まで、全身の老化にブレーキをかける」サーチュイン遺伝子というものがあり、それは腹七分目の食事によってスイッチオンになるそうです。

つまり、健康長寿や認知症予防などのためには、腹七分目が大事なのです。そのためには、初めから配膳量を減らすのはもちろんですが、目の前に出された食事を勇気を持って食べ残すことも必要です。それには子どもの頃からの習慣が大切で、「完食は偉い」という刷り込みをしていたのでは不可能な話です。

この先、長い人生を生きる子どもたちのことを本当に考えたなら、あえて「満腹になるまで食べない」指導をすることこそが大事なのではないでしょうか?

 

 

 

 

真鍋一郎