年々、評価の挙がっている美大生1

10月1日現在、来年3月卒業予定の大学生の内定率は68.4%と前年同期と比較しても4.1ポイント増という学生にとって明るいニュースが発表された(厚労省)。しかし、一般大学とは方向性が異なる美術大学をめざす高校生やその保護者にとって美大の就職状況に不安は多いだろう。今回、女子美術大学のキャリア支援センターの新井氏と橋本氏に昨今の就職状況、女子美ならではのキャリアサポートについて伺った。

■年々増えるゲーム・アプリ企業のデザイナー募集
○本年の女子美術大学の卒業状況はいかがでしたか?
一般大学の就職率は伸びていると聞いていますが、美大の場合一般職とは違い、専門職を狙うのでそれほど劇的に良くなったとは言えませんが、年々好転しています。就職率という点におきまして、美大生は必ずしも企業に就職するわけではないので率としては低くなってしまいますが、就職を希望する学生には希望の進路へ進めるようにしています。

○卒業生の希望の職は何でしょうか?
やはりデザイナー職を希望する学生が多いです。業界としては広告・グラフィック関係で電通博報堂、女性ならではの視点を生かし、ファッション、靴、バッグ、テキスタイルデザイン、インテリアや建築、空間デザインなどへ。また、今伸びているゲームやアプリなどのキャラクターデザインなどをめざす学生も目立ちます。特に大手ソーシャルゲームの会社では、2015年度入社予定者だけで、30名以上デザイナーを採用する企業もあります。大手メーカー・広告制作会社のデザイナー職の採用は3~4名ですから、やはり景気がいいことと、デザイン・絵が描ける美大生を求めているようです。スマホのアプリやゲームは身近なので興味を示す学生は年々増えています。他には商品企画・開発やイベントをプロデュースしたいという学生もいます。集約するとデザイナー職が4割から5割を占め、企画・総合職、販売職も含み4割程度、残りの1、2割がフリーランスや教員志望となっています。

■総合職・販売職での採用実績 美大生の強みは「0を1にする力」
○一般大学生と美大生との違いはありますか。あるとすればどういう点でしょうか。
一昔前は美大を卒業したら作家かアーティストといわれていましたが、現在は一般企業からの採用実績も多くなってきています。美大生の強みは「0を1にする力」を持っていることです。一般大学生の就職でよく言われるのが「1を100にする力」といわれ、営業力や企画力などを求められるのでしょうが、美大生の場合、何もないところから作り上げるというところが0を1にするということで、日頃の制作活動の中で培っています。デザイナーであれ、総合、企画の職種であれ、その力を発揮できることが、企業の方から高く評価されているところだと思います。
また美大生は一般大学の学生と違った特殊な環境で学生生活を過ごしています。制作を通して、感性を磨き、物の素材や色彩への細部にまでこだわりをもつようになり、その経験を卒業後、販売職で生かす学生もいます。近年、一般大学の学生も採用するアパレル企業の販売職を目指す美大生もいますが、採用担当者様からは、「感性・色彩感覚・素材へのこだわりをもっている美大生は、一般大学生にはない、的確にその商品の良さをお客様に伝える販売に必要なコミュニケーション能力を持っている」と評価いただいております。

美大生が総合職で認められるようになったのはどういう点だとお考えですか。
近年、メーカーや小売業の企業では、採用時点では募集職種を分けずに一括で「総合職」で採用し、入社後に適性で職種を判断する企業が増えています。一昔前はパソコンでデザインができたり、イラストで表現できる人材はデザイナー・専門職として企業内で重宝されましたが、現在は誰でも自宅のパソコンで簡単なデザイン作業は出来る時代ですので・・・。最近女子美から、総合職での採用実績がある企業としては、キリンビバレッジ・タカラトミーバンダイ高島屋・ローソン・セブンイレブンなど、自社で商品開発、オリジナルブランドに力を入れている企業が挙げられます。一般大学の学生が多く受ける「総合職」の採用選考においても、美大生が評価されるのは、時間をかけてしっかり制作に取り組む環境があり、それが忍耐力や、0を1にする大きな力を培っていることだと思います。デザインでも作品を作り上げていく向上心やモチベーションの高さが評価され、会社に就職した後にその実力を発揮するのです。

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柴田英明