本当は学校に行きたくない~隠れ不登校の実態~3

[読売オンライン]のサイトより、『本当は学校に行きたくない…“隠れ不登校”の実態(リンク)』から転載します。
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◆苦手がある子は「ダメな子」?
 調査結果を受けて、東京大学大学院教育学研究科の田中智志教授と小国喜弘教授は共同で「これからの教育は、子どもたち一人一人がどういう自己認識の下に、どういうビジョンを持っているのかを考えて、学校経営や教育施策を構想する必要があるのではないか」とコメントしている。

 今の中学生の86.7%が問題なく登校しているという結果だったことからも、現在の教育システムを全て変えるべきだというのは性急な議論だ。しかし、一律の教育システムが合わない子どもは確かにいる。

 「書くこと」に困難を抱える子どもに、皆と同じように手書きを強いる。あるいは、「読むこと」が難しい子どもに声に出して読むことを強いる。こんなことを続ければどうなるか。

 彼らは読み書きが全くできないわけではないため、周りからは「怠けているだけだ」と言われ、なにより本人が「自分は駄目なやつだ」と自己評価を低くしてしまうだろう。

 学校での学習は、長い人生における学びのほんの一部であり、その成果だけで子どもの全てを評価できるわけではない。しかし、子どもは学校生活での評価が全てであるかのように感じていることが多く、大人が感じる以上に影響が大きい。少なくとも、子どもの特性や興味に合った学習方法を個々に選べるようにすることで、個々の学びを尊重し、評価するということはすぐにでも実現できるのではないか。

◆学校だけに任せない
 不登校問題の主な現場は学校だが、学校や教師だけで解決できるものではない。そもそも、子どもの不登校傾向は、学校だけが原因とは言い切れない。例えば、「疲れる」「起きられない」という子どもの言葉を「怠け」と捉えるか、その背景に複雑な要因があるのではと考えるかによって、家庭での子どもへの接し方は変わってくるはずだ。まずは保護者が子どもの本音を聞く姿勢を持つことが不可欠だ。

 周囲の大人も無関係とは言えない。不登校児童・生徒に対して否定的な感情を持つ人が少なくないが、不登校は問題行動とは違う。「集団生活ができない子ども」といったレッテルを貼るのは明らかに間違いだ。不登校不登校傾向を生んでしまう社会的要因を追究し、一人でも多くの子どもが笑顔で学校生活を送れるように改善策を考えるべきだ。

 不登校または不登校傾向にある子どもたちをとりまく背景や課題は多様で、それぞれの要素が複雑に絡み合っている。ひとつの施策を打てばすぐに解決できるわけではない。日本財団では、今後の不登校対策や教育施策の検討のための一助となるよう、引き続き各地域の実態やどのような解決策が必要かについて、調査と研究を重ねたいと考えている。

枡方 瑞恵(ますかた・みずえ)著作

 

 

 

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