大学1、2年生のキャリア教育に乗り出した大手企業①

リンクより引用します。

※※※以下、引用※※※

大学1、2年生のキャリア教育に乗り出した大手企業

 2018年10月、経団連は2021年に入社する学生の採用活動から、就活ルールを撤廃することを決定した。

 これに呼応するかのように大手企業が大学1、2年生を対象に教育プログラムをスタートしている。

 昨年秋には世界トップ企業のプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下、P&Gジャパン)が主に大学1、2年生を対象にビジネスコンテストを開催。

(中略)

 「『P&Gの4ブランド(および製品)における、大学生の新規購入者を獲得せよ』。これが本日お集まりいただいた学生の皆さんへのミッションです」

 P&Gジャパンのブランドマネージャーが告げると、学生たちは真剣にメモを取り始める。

(中略)

 今回のイベントには2つの特徴がある。

 1つは、参加対象者を主に大学1、2年生にしていること。そして2つ目は、最も優秀なプランを提案したグループには、300万円の資金を提供し、P&Gジャパンのサポートのもと、そのプランを実行してもらうということだ。

 そのため同社では参加資格に、3~5人のグループで参加することと、2019年の4月から6月の期間中に大学に在籍しながらマーケティングプランの実行が可能な人、という2つの条件を設けている。

 大学生を対象としたビジネスコンテストは多いが、入学して間もない1、2年生を対象に絞るのは珍しい。

 しかも主催者が資金を提供し、そのプランを実行するところまでを盛り込んだコンテストを大手企業が実施するのは極めて異例のことだ。

(中略)

 一方、学生側の反応はどうか。

 キャリアへの関心が高くなっているとはいえ、まだ就活には早い大学1、2年生を対象にしたプランの募集では、どの程度集まるのか。どれほどの学生がマーケティングの現場を体験したいという情熱を持っているのか。

(中略)

 マーケッターからの説明を一言一句聞き漏らさないようパソコンを開いてメモしている学生やメモ帳にペンを走らせている学生たちの表情は引き締まっていて真剣そのものだ。

 かつて日本の大学がレジャーランドと呼ばれていた時代もあったが、ここに集まっている学生の姿を見る限り、かつてのお気楽な学生とはかけ離れている。

「大学では教えてもらえないことが学べた」という学生の声

 「これから商品をお配りします」

 会場にいる学生一人ひとりに配布されたのはP&Gが実際に販売している「レノア(オードリュクス)」。店頭では1000円近い価格の高級柔軟剤だ。

(中略)

 さっそく学生たちの手が上がる。

 「一人暮らしの学生と、家族と暮らす学生とでは、新規客獲得数のカウント方法は異なるのでしょうか」

 「このブランドのマーケティング施策の中で、最も効果的だったのは何でしたか」

 「テレビ CM では高級感は伝わってくるが、製品が持つ機能については触れられていないのはなぜでしょうか」

 およそ1、2年生とは思えないような鋭い質問が飛び出す。

(中略)

 イベントを終えた会場で、参加した学生に感想を聞いてみた。

 慶應大学の4人チームは、英国の大学への短期留学で一緒だったメンバーで編成。

 「卒業後はP&Gでマーケティングの仕事をすることを希望していまして、そのためにも実際に働くブランドマネージャーから学びたいと今回のイベントに参加しました」(慶應大学商学部2年生・安西雄太朗さん)

 就職を見据えた参加だけに、優勝にかける思いも強い。

 「一般のビジコン(ビジネスコンテスト)では、実現性に疑問を感じるプランが選ばれることが多いと感じていました」

 「しかし、この『マーケッターズ・ハイ』は実行に移すことを前提にしているところが新しいと思います。ぜひ優勝してプランを実行する体験をしたいです」

 そう意気込む安西さんを、他の3人がサポートする。

 同志社大学(2人)と大阪芸術大学(1人)の混成チーム。朝4時台に起きて、新幹線で会場にやって来たという。

 「外資系企業に興味があって参加しました。大学では政策を学んでいますので、マーケティングは専門ではありませんが、今日お話をうかがってみて、大学で学んだことはビジネスにも十分、応用できるという確信を得ました」

 「学生ならではのアイデア、視点を大事にしたプランを考えたいと思います」(同志社大学政策学部2年生・稲垣志桜里さん)

 「参加するからには優勝を狙おう」と、同じクラスの優秀なクラスメートのほかに、各種制作物のデザインのことも考慮し、芸大の学生を組み入れたチーム編成で臨む。

 同じゼミで学ぶ京都大学経済学部の4人チームも、この日、京都から東京まで来たという。

 「大学のゼミでも実際の商品を取り上げた授業がありますが、そこで学べる知識は断片的なものでした」

 「今日はP&Gの4つの商品に関するマーケティング施策のお話が聞けて、一連の流れを体系的に理解することができとても有意義でした」

 「大学では知識を学び、考えを深めることはできても、実際に商品を売る体験はできません。その点で、実際に社運をかけて商品を売ってきた企業担当者のお話は一味も二味も違いました」

 「ぜひ優勝してその体験をしてみたいです」(京都大学経済学部2年生・山東丈将さん)

 こうした言葉からも、企業のことを知りたいとの強い意欲を持ち、大学ではできないリアルな体験を熱望していることがわかる。

 彼らは1、2年生からすでに卒業後のキャリアについて真剣に考え、望む企業に就職するための取り組みをはじめているのだ。

(つづく)

 

 

 

野崎章