ジェームズ・ダイソン独占! 私が今、正しく機能させたいものは「教育」(2)

引き続き、リンクより引用します。
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Dyson Instituteは、既存の大学に対する本物の、そして魅力的なオルタナティブです」。ジョンソンはダイソンの社内報『on:』のなかでそう語っている。「この学校をきっかけに、高等教育における新たなアプローチが切り開かれることになるでしょう。もっと多様で、質が高く、柔軟でコストのかからない教育の選択肢があることを示せるのです」
「教育は、常に自分の人生の一部だった」

18年秋に2期生を迎えたDyson Instituteでは現在、76人の未来のエンジニアたちが学んでいる。

この学校が既存の大学と異なる点は、大きく2つある。ひとつは、働きながら学ぶこと。生徒たちは学期中は週に3日、学期外には週に5日をダイソンのエンジニアチームに混じって実際のプロジェクトに費やしている。

そしてもうひとつは、生徒たちには年間15500ポンド(約225万円)の給与が払われること。厳しい選考過程を経て入学した生徒たちは、実質的に学費を一切負担することなく工学学士を取得できるというわけだ。カリキュラムではデザインとエンジニアリングの両方を学ぶことはもちろん、ソフトウェアからハードウェア、電子工学や機械工学といった幅広い知識を身につけられるのが特徴だ。

そして4年間のプログラムを終えると、生徒たちはダイソンに入社する機会を得ることになる(入社は必須ではない)。

「ぼくらがやりたかったことは、ダイソンで働く素晴らしいエンジニアたちをアカデミアに組み込むことでした」と語るのは、同校のディレクターを務めるダンカン・パイパーだ。

「そこで各領域の最も優秀なエンジニアたちを連れてきて、パートナーであるウォーリック大学と一緒になってカリキュラムをつくっていったのです。『それぞれの領域で、未来のエンジニアにはどんなスキルが求められることになるだろう?』とディスカッションを重ねながらね」

そんなDyson Instituteの目標は、壮大だがシンプルだ。教育スタートアップを経て大学設立に携わるべくダイソンに入社したパイパーは、面接でダイソンに初めて会ったときの会話を思い出しながら言う。

「この学校で何をしたいのかとジェームズに尋ねたところ、彼の答えはいたってシンプルなものでした──『世界最高のエンジニアリング大学をつくりたい』。それが、ぼくたちのビジョンということです」

しかし、そもそもなぜ、ダイソンは若者を育てることにここまでこだわるのだろうか? 理由のひとつには、自身が若かったころの経験があるという。彼はRCA在学中にエンジニアリング企業のロトークに入り、最初の発明品となる上陸用船艇「シートラック」を開発しているが、このときに「重要な人生の師であり、生きたお手本」になったと自伝に書いているのが、発明家でロトーク創業者のジェレミー・フライだった。

フライが駆け出しのダイソンを信じ、全面的に仕事を任せてくれたからこそ、実践のなかで独自の解決策を生み出す力を身につけることができたのだと、ダイソンは先述の『on:』でも語っている。「彼から学んだ『つくりながら学ぶ』精神は、私が行ってきたすべてに当てはまるものであり、DysonInstituteで私が教えたいすべてを支えるものである」。

そしてもうひとつ。今回の取材でダイソン本人にその熱意の理由を尋ねてみると、彼は生まれ育った環境の影響もあるのだと教えてくれた。両親がともに教師だったこと、兄も教師であることに触れながら、「教育は、常に自分の人生の一部だった」と彼は言う。「だから私は、純粋に若い人たちに興味があるんだ。そして、彼らとともに働くのが好きなんだ」。
「いまもこれからも技術を発展させたいだけだ」

 

 

 


佐藤晴彦