世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ大学

 世界で注目を集めるミネルバ大学。その記事を紹介します。

リンクより引用します。

(前略)

 質が高い教育を実現するには、自分たちが提供する教育の内容、自分たちの教育によって最も成長できる学生はどんな人かを自ら理解しておく必要がある。
(中略)

 ミネルバ大学が画期的なのは、情報技術を最大限に活用することで、こうした問題を解消してみせたことだ。2018年度の入試では、新聞や雑誌への広告を一切行わず、約2万3000人の入学希望者の中から自分たちが伸ばせると信じる274名に入学許可を与えた。

(中略)

 ちなみに、ミネルバ大学の入学志願者が増えつづけている背景をいくつか紹介しておこう。

アイビーリーグをはじめとする名門大学に行きたくても行けない、優秀な学生にミネルバ大学がアプローチできていること。そうしたトップ大学を目指す学生は依然として世界中に数多くいるものの、機会均等のために設けられた財務支援制度や優先枠はもはや機能していない。そのため、学生にとってもミネルバ大学は魅力的な選択肢となっている。

・第三者によるソフトスキル能力評価において、ミネルバ大学の学生が驚異的な成長を示していること。ミネルバ大学の学生は、入学時は他のトップ大学の学生の成績を下回っているものの、わずか1年で他大学の学生が4年かけて伸びる分の7倍の学習効果を実現している。

アイビーリーグの学生が憧れるような企業、NPO、有名大学院や研究所などが高い評価を提供していること。さらに、他大学の教授からも高い評価を得ていることもある。

(中略)

ほしい生徒を自ら選び、アプローチする――ポイント[1]入口戦略

 ミネルバ大学は、図1で見た通り、情報技術に投資することで、ほしい学生にアプローチし([1]入口)、その能力を最大限伸ばし([2]中の活動)、卒業後も活躍できるようフォローしている([3]出口)。では、それぞれの戦略について、順に詳しく説明しよう。

 まず、ミネルバ大学はどのようにして自分たちが望む学生にアプローチできたのだろうか。そこにはソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を駆使した発信や、オンライン上でさまざまな情報を取得し、プロモーションに活かす仕組みが用いられている。ミネルバ大学SNSだけで、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターリンクトイン、ウェイボー(非公式)を使い、オウンドメディアとしてメディアムとユーチューブ、自社ウェブサイトを利用している。こうしたオンラインメディアを適切に使い分け、自社ウェブサイトへの流入経路を確認しながら、世界中のミネルバ大学に興味を持った学生・企業・行政に最適化されたプロモーションを展開しているのだ。

(中略)

2万人以上が受験する大学ではあるが数人の専任の入学審査官が効果的に受験生を振り分け、希望する学生には条件付きで3週間以内に合否判定を連絡し、合否のボーダーラインにいる学生には、締切日が過ぎても、個別に連絡を取り、提出した内容の修正を許可することまでする。ミネルバ大学の合格率1.2%ではあるが、合格できる可能性のある学生には、既存の大学よりも多くの時間をかけて、マッチングを図っている。厳しい審査ではあるものの、紙の一発試験では到底測れない学生個々の可能性を見ることができるのだ。

オンラインプラットフォームを何のために使うのか――ポイント[2]在学中の授業設計

 入学後は独自のオンライン学習プラットフォームを利用し、教科の枠を超えた教員チームが各学生の科目横断的な思考・コミュニケーション技能の習熟度に合わせて授業内容を微調整することが可能だ。(中略)授業中のファシリテーション機能はわかりやすく、注目されやすいが、より重要なのは授業の結果を授業の効果分析、適切な授業設計に反映して、より質の高い教育を提供するためにオンラインプラットフォームが活用されていることだ。

(中略)

 学生の情報は、独自のオンライン学習プラットフォームを通じた習熟度把握だけでなく、学生のキャリア指向やプロジェクト学習でのパフォーマンス、インターン先からのフィードバックなどでも活用されている。キャリア構築支援担当者は学生の具体的な活動(授業、プロジェクト学習、課外活動データベース)を確認し、毎日接していない学生であっても、その特徴を把握できる。学生にコンタクトしたい企業などからのリクルーターに対して適切な学校内選考を経て、紹介できる仕組みになっている。このようなキャリア構築支援とアカデミックチームの情報共有の仕組みはミネルバ大学よりもはるかに高額な学費を要求するMBAプログラムでも実現されているケースは稀だ。

生涯続くキャリア支援をどう実現するか――ポイント[3]出口戦略

「一生涯続く、キャリア支援を提供する」

(中略)

 コーチングは大学1年生のときから始まり、学生のキャリア志向に基づき、社会に出るまでにどのような経験を、どこでどのようにするべきかメンタリングを受けられる。豊富な課外活動プロジェクトだけでなく、自ら起業や社会プロジェクトを立ち上げる学生もいる。必要な条件を満たせば、教授の推薦を得たりすることも可能だ。

 また、キャリア構築支援チームは、定期的に学外の企業・大学(院)・NPOなどで構成される雇用者アドバイザーグループとの対話の場を設定し、社会のリーダーとして期待される職業・社会活動経験について助言を受け入れている。ミネルバ大学における出口の支援、出てからのキャリア支援は在学中から始まっているのだ。そして、卒業生は引き続き、こうしたサービスを必要に応じて利用することができる。卒業生としての活動がミネルバ大学のオウンドメディアを通じて、学校に注目している外部の組織に注目されることも卒業生、大学の双方にとって有益だ。

(中略)

本当の学校改革は、情報技術への投資から始まる

(中略)

 ミネルバ大学のような大学はゼロから創ったから可能だったのだ、という大学経営者もいる。しかし、数十億円かけて新たな土地と豪華な図書館を立てる計画があるなら、同じ金額で情報技術に投資を行う意思決定はそんなに難しいことだろうか。あるいは大学は、すでに施設があるからそれを利用しつづけなければいけない、という固定観念にでも縛られているのだろうか……。

(後略)

※※※引用、以上※※※

 

 

 

野崎章