教員制度はどうなっていくべきか。いまの教員制度の背景から考える

教育の変革が急がれる今。
“学校の先生”の変革も急務の課題である。
そんな今、就活の教員人気は「ブラック職場」のイメージ定着で下がり続けている。さらに新卒採用は人手不足による「売り手市場」だ。このため教員の志願者数は年々減少し、教員採用試験の倍率低下が止まらない。教員免許のあり方は、令和を迎えたいま限界にきている。多様な外部人材を公教育の場に呼び込み、子どもたちの学びを活性化するために、改革に躊躇している時間は無い。

FNNPRIME
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■ベテラン教員の大量退職時代

教員の世界は、ベテラン職員の大量退職時代が到来している。彼らは第2次ベビーブームに対応するため大量採用された世代で、不足分を補うため、いま教育現場ではこれまで以上に新卒採用が必要となっている。

小学校教員の新規採用者数は2000年に4千人だったが、2018年には1万6千人と4倍になっている。これにともない採用試験の倍率は低下し、2000年は12.倍の狭き門だったのが、2018年には3.2倍になった。
特に東京都内では教員志望者が激減し、倍率は2倍を切る状況となっている。これによって教育現場で懸念されているのが、教員のレベル低下だ。「採用試験の倍率が2倍を切るということは、実質的に試験を受ければ採用されるということです。昨年度も教育実習でこのひとは使えないなあと評価した学生が、ほかの学校で教員として採用されたのを見てびっくりしたこと
があります


(略)

■多様化が求められる教員の同質文化

教員になる学生が減少する中で、いま注目されているのが「特別免許」だ。特別免許とは、大学などの教職課程を履修していないが、専門的な知識や経験をもっている外部人材を教員として採用する制度で、1988年に創設された。小・中・高等学校のすべての教科や、特別支援学校の活動について授与されるが、都道府県の教育委員会が行う検定に合格する必要がある。

しかし特別免許が授与されたのは2016年までの約30年間で、全国の公立小学校でたった2人、公立中学校で38人に過ぎない。

なぜ教育現場はこの制度を活用しないのか?
「小学校の教員は基本的に全教科を担任しますから、小学校には『全教科を教えられないと教壇に立てない』という風土があります。それを前提とした教員免許カリキュラムを組んでいるのが地元国立大学の教育学部ですが、そこを卒業した人たちが退職校長会や校長会、教育委員会の指導主事などでマジョリティを占めています。この同質性の高い教員文化の『当たり前』が強すぎることも、特別免許の授与に消極的な背景になっています。
つまり同じ経験や経歴を持つ教員の「当たり前」が、「異質」な教員を受け入れて教員文化の多様性を高める上で、壁となっている。

教育改革がスタートすれば、小学校中・高学年から英語教育が本格的に始まる。教員の負担は増えるばかりだし、そもそもこれまで触れてこなかった英語を、教員が教えることができるのかという懸念もある。英語を教えられる外部人材を教育現場に獲得するのは急務なのだ。

■戦後生まれの教員免許制度

現行の教員免許が法制化されたのは、戦後間もない1949年。その後も大きな体系は変わっていない。当時の教員の人生モデルは、「18歳で教員になろうと教育学部に入学し、22歳で教員になり60歳まで勤め上げて退職する」だった。しかし人生100年時代を迎え、教員の人生モデル自体も大きく変容している。

さらに令和となり、子どもたちはAIやビッグデータの時代を生きている。最適な教員の人材確保のためには、理系学生が教職課程を履修しやすくすることも必要だ。いまの免許制度では、中学校の理科の教員は、小学校の算数を教えられない。

こうした「参入障壁」も、見直さなくてはならないだろう。

戦後に生まれた教員免許制度が、はたして令和の時代に通じるのか。
「志高く優秀な人材、新規採用だけでなく中堅層の獲得でも、これまでの免許制度や教員養成にとらわれてはいけないと思います。より多様な人材が教壇に立つためには、企業やNPOなどと『回転ドア』方式で人材の流動性を高める必要もあります」(合田課長)

教員免許改革は待ったなし
いま教育現場で求められている教員像は、「一回一回の授業という舞台の『主演俳優』という役割だけではない」と合田課長は言う。
「単元や年間という単位で学びのシナリオを作り、学校外からゲストを呼んだり、子どもたちの思いもよらぬつぶやきや発想を即興で活かして、授業の展開を組みかえたりといった、『脚本家』や『演出家』の役割がますます強
く求められます」

こうした「教師力」は、これまで日本の教育の強みであった。しかし教員免許のあり方は、令和を迎えたいま限界にきている。多様な外部
人材を公教育の場に呼び込み、子どもたちの学びを活性化するために、改革に躊躇している時間は無い。

 

 

 

松山恵実