ノーベル化学賞受賞が決まった吉野彰氏は、「企業は開発の第一線に立ち、新製品を出すという目標がはっきりしている。大学に残るより面白そうだ」と感じたことを理由に企業へ就職。
人材の能力は、現実圧力に応えること=人々の期待に応えることを通じて、志と追求力を育むことによって養われる。そのような意味で、学校の強制圧力から解放され、企業への早期就職を促す高卒改革は、可能性であり、社会の必然的な潮流だ。
社会の共認圧力が高まる今、3~5年後には高卒就職が当たり前の時代になるだろう。
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「「高卒で働く」(下)学歴の壁低く「自由な就活」で広がる可能性」(リンク)
インターンなど職業経験の場も設け、興味の「一歩先」に踏み出す手助けをする。掲載が決まった中にはプロジェクションマッピングを駆使した空間演出で注目される「ネイキッド」(東京都渋谷区)などの先端企業も。求人の質にこだわり、大手やメガベンチャーを中心に、1、2年でまずは500社の掲載を目指すという。
平成27年9月の開始から300人以上が卒業、就職を果たしている。現在は25人が研修中だ。参加するには地方からの上京が条件になるが、インターン中の家賃光熱費や食費はかからず、お金がなくても「やる気」さえあれば飛び込める。運営費は、卒業生が入社した企業からハッシャダイが受け取る「人材紹介料」が資本となっている。
100社近い入社先には、超有名企業の名前も。担当者は「もともと大卒限定というわけではなく、中・高卒者へのアプローチ方法がわからなかっただけという話も聞いており、学歴の壁は低くなりつつある」と手応えを語った。
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「高卒採用、慣行に転機 「1人1社」に新興企業が異議」(リンク)
企業の高卒採用意欲が強まる一方だ。17日に選考と内定が解禁となった2020年3月卒の求人倍率は27年ぶりの高水準になり、大卒も上回る。若手の人材不足を解消する貴重な戦力として、高卒に目を向ける企業が増えたためだ。新興企業も熱い視線を注ぎ、伝統企業が優位とされる採用ルールの見直し機運も高まっている。
厚生労働省はこのほど20年3月の高卒予定者について、19年7月末時点の求人倍率が2.52倍だったと発表した。1年前の19年3月卒より0.15ポイント高く、1993年3月卒以来の高水準だ。
厚労省は「これまで大卒を中心に採用していた企業が高卒に目を向けるようになった」と説明する。東京商工会議所によると、IT(情報技術)業界などからの引きが強まり、初めて高卒を採用する企業も多いという。
「1人1社」ルールに12年発足の新経済連盟と人材関連スタートアップのジンジブ(東京・港)が異議を唱えた。18年9月に文部科学省と厚労省に見直しを要望。ジンジブは「高卒者が職業選択の自由を確保し、十分な情報を得て企業を選択できると言い難い」と主張する。
1人1社では企業の信頼度や生徒の適性の判断で教師の蓄積を生かせる半面、本人の理解や納得が不十分なまま就職している恐れがある。厚労省の調査では高卒の入社後3年以内の離職率は4割と大卒の3割を上回り、1人1社がミスマッチの一因との指摘が多い。
文科、厚労両省も1人1社が自由な就活を阻んでいるのを無視できず、見直しに着手。20年初めにも結論を出す見通しだ。新たな「金の卵」として高卒の採用熱が高まるなか、半世紀以上続く慣行に変革の波が及ぶ。
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「高卒「1人1社」の壁に挑む 採用参入企業、売り込みに知恵」(リンク)
建築施工の嶋工業(川崎市)はLIXILなどが設立した建材技術専門学校で高卒社員が学べる制度を導入した。5~11月に都内施設などで合計約500時間をかけて、建築や建材の基礎知識を学ぶほか、工具の使用方法も実技で身につける。
これまで同社はほとんどが中途採用で「仕事は先輩を見て怒られながら覚えるという風潮だった」(嶋英美社長)。未経験者でも安心して働けることをアピールする。
美容室運営のマーズインターナショナル(兵庫県宝塚市)は今年から高卒採用を始めた。新卒採用の10人のうち2人を高卒にする予定だ。従来は美容専門学校を卒業し、美容師や理容師の免許を持つ人を採用していた。
高卒を採用するにあたり、入社後に働きながら美容専門学校の通信課程に所属できるようにし、学校に登校する際は勤務時間と見なす。今後は学校の費用を負担することも検討する。さらに初任給は専門学校卒の社員と同等にした上で、従来より最大で2割上げた。
高卒採用の需要の高まりに商機を見いだす企業もある。高卒採用支援を手掛けるスパーク(東京・渋谷)は企業向けに高校生をインターン(就業体験)として受け入れるサービスを始めた。5月には埼玉県内の高校生が幼稚園で3日間働いた。
日本のように高校卒業の直後に就職する国がある一方、米国やフランスなどでは卒業後すぐに就職するのではなく、インターンシップ(就業体験)に参加し、キャリア観を養うケースもある。ドイツでは小学校を卒業する10歳の時点で、最終的に大学に行くか、職業学校に行くか進路が分かれ、日本のような高卒採用の概念はみられない。
萩元宏樹