学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない

学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない
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■日本とまったく異なる欧米の入試システム

世代人口が減った現在、日本は「大学全入時代」といわれます。大学のレベルを問わなければ、いまの子どもたちは全員が大学に入学できるというわけです。そうはいっても、やはりレベルの高い大学への入学はいまも変わらず簡単ではありません。とくにそういった難関大学は、入学者数を減らして一定のレベルを保とうとしているからです。

では、その「レベル」とはなにか? それは、いまも変わらず、基本的には「偏差値」です。世代人口が多い団塊ジュニア世代が受験生だった時代のような「偏差値至上主義」とまではいかなくても、日本においては偏差値が重視される傾向にあることはたしかです。

一方、日本や韓国などで行われるような、アジア型といわれる入試とまったく異なる入試システムをとっているのが、欧米です。欧米の入試では、日本の入試のように受験生が一斉に同じテストを受けるということはありません。一定の学力を測るスコアは必要ですが、その結果はあくまでも合否を判断する資料のひとつにすぎません。

その一方で、たとえば志望理由やポートフォリオ、エッセイなどの書類をたくさん提出する必要があります。あるいは、何人かの推薦者がいないといけないということも。要は、入学を志望する人物が、いままでにどういうことをしてきて、どういう人たちとかかわってきて、入学したらなにをしたいのかといったことまで含め、トータルの人物像が欧米では問われるわけです。日本における自分の偏差値で表せるようないわゆる学力と呼ばれるものは、あくまでひとつの指標でしかありません。

■大学入試改革が失敗すれば日本の未来はない!?

ただ、日本でも大学入試改革が進行中です。そもそも、なぜ大学入試改革をする必要があったか? それは、いまという時代が大きく変化しているからです。時代が変われば、それに伴って必要とされる人材も変わってくる。ところが、経済界からは「欲しい人材が育っていない」という声が以前から相次いでいました。

そこで、大学入試を変えれば、その前にある高校、中学校、小学校の教育も必然的に変わっていく。そうして、実社会で求められる人材を育てようというロジックで大学入試改革が進められることになったのです。でも、当初予定されていた英語民間試験や記述式問題の導入が延期となるなど、現在は大学入試改革がトーンダウンしているのが実情です。

しかし、仮にこのまま大学入試改革が頓挫して、結局かつての入試と同じようなシステムに戻ってしまったら、「日本の未来はない!」というくらいにわたしは考えています。

先にお伝えしたように、大学入試改革に先んじて2020年から、高校、中学校、小学校の教育も変わっていきます(インタビュー第1回参照)。そのベースとなるのが、新たな学習指導要領。それは、これまでの教育とは異なる「生きる力」を伸ばすことを目指したものです。さらに、現在のコロナ危機で学校が休校に追い込まれ、オンライン化が加速しているなかで、学校教育の意味が問い直されています。もし、学校関係者が、単にコロナ禍の前に戻すことだけを目指すなら、日本は世界の潮流からも完全に遅れを取ることになるでしょう。

さて、文科省によれば、生きる力とは具体的に「学びに向かう力、人間性」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」とされています。明らかに、これまで重視されてきたような知識をたくわえる力とは異なるものであり、どれもとても重要な力ですよね。その教育が本当にしっかりと定着するのか。そして、その教育で子どもたちが身につけた力を大学がきちんと評価できるのか。そこに大学入試改革が実を結ぶかどうかの鍵があるように思います。

■今後は学歴が持つ価値が変わっていく

大学入試改革にはじまる日本の教育全体の改革が進めば、「これからの社会で求められる人材」が育つことになるでしょう。ただ、わたし自身は、これからは学歴は万能ではなくなると思っています。

もちろん、これからも学歴はある程度の武器にはなるでしょう。でも、「あの大学を出るくらいのポテンシャルを持っている人なんですね」という程度の評価基準になるのではないでしょうか。それよりも問われるようになるのは、先の欧米の大学入試ではないですが、その人自身がなにをしてきたか、なにができるのか、なにをしたいのかといったトータルの人物像でしょう。

そう考えると、今後は、自分自身の人生の「目的」をしっかり考えることがより大切になります。たとえば、なんの目的も持たないままに東大に行ったところで、東大で過ごす時間はただの無駄でしかありません。それよりも、自分の人生の目的をしっかり見据え、その目的のために必要な大学に行くこと。必要なければ大学には行かずに目的に向かって最短距離で進んでいく。あるいは、必要になったときに行く。そういった柔軟な考え方を持つことが大切です。

大学は単なる通過点にすぎません。その先を見据えて自分の生き方を考えることを、ぜひお子さんに伝えてほしいと思います。