地域とともにある学校が、「少子化・日本」の明日を元気にする②

リンクより引用
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■公立学校の授業に参加するボランティアとは

――学校の在り方を変える教育改革とは、具体的にはどのように行われたのですか。

貝ノ瀬:まず手始めに「教育ボランティア制度」をつくりました。これは、地域の方や保護者の皆さんに学校にどんどん来てもらい、子どもたちの教育に参加してもらう仕組みです。「夢育の学び舎(むいくのまなびや)」というネーミングで、第四小学校は学校改革の道を歩み始めました。具体的には、授業に入るStudy Advisor(SA)、総合的な学習の時間に入るCommunity Teacher(CT)、それからクラブ活動に携わるきらめきボランティアの3つを登録制にして、保護者、地域の方、学生などから募集しました。
根底にある発想は、後に取り組むことになるコミュニティ・スクールづくりと同じで、「先生方の負担を軽減しながら、子どもたちにガッツを持たせたい。さまざまな仕事や暮らし方をしている地域の人たちと触れ合うことで、子どもたちに多様なものの考え方を伝えていきたい」というものです。
きらめきクラブという活動は、先生方が顧問を務める必修クラブとは別に20種類ほどあって、参加は自由。書道、バレエ、茶道、英会話、韓国語、各種スポーツなどいろいろあり、地域のボランディアの方々が教えてくださいます。放課後や早朝、土日もやっているので、学校に来れば楽しめるし、子どもの居場所ができます。地域の人とふれあいながら学ぶことで、社会とのつながりやそれぞれの感性が伝わるメリットもあります。広い意味で健全育成につながると考えています。

■子どもの問題を解決することは、地域の問題を解決すること

――保護者や地域の皆さんを、どのように説得したのですか。

貝ノ瀬:大きく言うと、地域の子どもたち一人ひとりの豊かな人生を育むために、地域のみんなで応援していきましょう、結果的に自分たちも人間的に成長していきましょう、ということを伝えました。学校の先生は職業として教育に携わっているが、地域住民の皆さんも子どもの教育、子どもの未来については共同の責任がある当事者なんだ、ということです。
中には「勉強を教えるのは学校の先生の仕事で、それを保護者や地域の住民に手伝ってほしいと言うのはおかしい。学校の責任放棄ではないか」という反対意見もありました。それに対しては「教員はやるべき仕事を100%やる。その上でボランティアの方々が20の力を足してほしい。120の力で一緒に未来を担う子どもを育てる教育を目指しましょう」とお話ししました。
私が狙った「夢育の学び舎」の姿は、保護者会ではありません。あくまでも地域の人が地域の子どもを育てるということが理念ですから、学校に子どもを通わせていない方々にも参加をお願いしました。結局、教育ボランティア制度もコミュニティ・スクールも、市民力アップにつながる取り組みなんですよ。子どもの問題を解決することは、地域の問題を解決することにもつながるわけで、それに真剣に取り組むのは、教師はもちろんですが、地域の皆さん方の幸せや勉強にもなるということです。得られる果実は、みんなの人間的な成長なのです。

■地域を見つめる起業家教育

――アントレプレナーシップ教育に挑んだ「三鷹四小アントレプラン」について教えてください。やはり学校と地域の交流が生まれたそうですね。

貝ノ瀬:これはもともと経済産業省の発想ですが、私もアントレプレナーシップ教育(起業家教育)の重要性について知るようになり、高学年の授業から取り入れ始めました。「まずは自分の住んでいる地域に目を向け、そこから何か仕事を創りだす。それを一人でやるのではなく、会社をつくってみんなで手がけ、利益を出す」という活動を促しました。
このように自分の暮らしている地域、つまり足元をよく見て考えることは、地方創生や地域再生にも密接に結びつくと思います。こういう感覚に加えて英語力やITの力があれば、日本中どこにいても、世界に向けてビジネスができるはずです。こうしたアントレプレナーシップ教育は、全国どこの学校でもやったほうがいいでしょう。そして、それを小学校だけで終わらせないで、中高へとつなげていくことができれば理想的です。だから小・中一貫教育が必要になってくるわけです。
要するに、故郷を足元から見つめるという意識が大切です。コミュニティにおける有機的な人間関係を新しく作り直すことがいま求められていると思います。かつての日本には、生活上のいろいろな必要もあって自然発生的に存在していたような地域のつながりは、今はなかば作為的にやらないとなかなか築けないのかもしれません。

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