大学生は、何のために自分が勉強しているかわかっていない

(リンクより

大学のオンライン授業が総じて不評というお話をしたのですが、開始して1カ月たち、教員も学生も慣れてきたのか、それなりに落ち着いてきました。

「相変わらず酷い」という学生もいますが「むしろ、オンラインの方が楽でいい」という学生も増えてきており、前期はこのまま進んでいきそうです。

そんな感じで、大学も正常化したきたため、私もいくつかの大学でゲスト講師として教壇に立っております(オンラインで)。

その授業の中で、学生にこんな質問をしてみました。

「小中高校で、何のために勉強をしてきましたか?」
「大学で、何のために勉強をしていますか?」


◆大学で、何のために勉強しているんだろう?
「小中高校で、何のために勉強をしてきましたか?」への答えは、9割が「いい学校に進学するため」でした。予想通りです。そして、「大学で、何のために勉強をしていますか?」への答えは、割れましたが6割が「わからない」でした。

「勉強そのものが楽しい」「教養を身につけるため」「公務員試験のため」など出てきたのですが、過半数が「わからない」。

これが、大学の教育のひとつの問題点だと思います。

そういう私も、今から約20年前、同じことを思っていました。

数学と物理が異常にできた(偏差値70以上)高校生だった私は、早稲田大学理工学部で学者とかになれるかなーと思って勉強を始めたのですが、周りにいる人が明らかに自分よりも勉強ができる人だと気づき、挫折します。

「こりゃ、どう考えても、学者とか無理だね」と気付いて「じゃ、なぜ勉強するのだろう?」という疑問にぶち当たったのです。


◆なぜ日本の企業は、大学名しか見ないのか?
ここで「日本企業は、大学の成績を評価すべし!」といってもあまり意味がありません。というのも、会社が採用したいのは「自社で役に立つ人材」なので、大学の成績と自社での将来の活躍に相関がなければ、大学の成績なんてどうでもいいのです。

一方で、勉強ができること自体は、社内での活躍と相関がある職種も多いでしょう。電気工学や建築、数学や化学などの専門知識は、製造業や建築業のエンジニアや、研究職ですぐに役に立ちます。ですから、理工系の学生は、学部推薦という形で、学校の成績がそのまま就活に役に立ちます。

また、専門的な学問でなくても「長時間机に座って集中できる」「先生が話した内容を理解する」「わからないことがあったら、本やウェブで調べる」といったスキルは、仕事をする上で非常に有用です。

ただ、このような技術があるかどうかは、大学入試の結果でわかります。難関大学に入学をするということは、多かれ少なかれこの技術を持っているわけで、入学した大学を見れば分かってしまうわけです。そのため、企業は大学の成績ではなく、入学した大学の名前を見るのです。

大学時代の私は、ここまで理解して「勉強してもしょうがくなくね?」という結論になりました。私の授業を受けた60%の学生も同じことを考えているのでしょう。

そこで、20年前の私は、こんなことを考えました。

「じゃあ、企業が求めてるのって、どんな人だろう? そのために何をすればいいんだろう」

そのひとつの結論が「お客さんや、会社を幸せにできる人」です。

つまり、仕事の経験をし、それをエントリーシートや面接で話をする、その話す内容が「こんな体験をして、お客さんを満足させました。だから、あなたの会社に入ってからも、お客さんを喜ばせる仕事ができます」になっていれば評価されるだろうと考えたのです。

(略)

今の学生は「人の役に立ちたい」と考えている人が思った以上に多いです。しかし、具体的にどのように役に立てるのかがわからずに迷走しています。だから、「こういうことを学んで、こういうことができるようになったら、こうやって人の役に立てる」ということを学ばせてあげてほしいのです。

カンボジア人に意見を聞いて、好まれる製品を開発すれば、カンボジア人の人が喜んでくれて、対価として売上が上がる。メキシコ人に話を聞いて、よく使っているSNSを調べ、そこにマンガアプリの広告を打てば、多くのメキシコ人がマンガを楽しんでくれて、アプリのアクセス数が上がる。

こういう、お客さんと会社を喜ばせることができるという、ストーリーを伝えてほしいのです。

そのために、教員の皆さんには「なんでこの学問を学んでみようと思ったのか?」「学んだことによって、どんないいことがあったのか?」ということを、今一度考えてほしいなと思います。

 

井垣義稀