休校で運動不足の子供に起きた数々の体の異変

 

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成長期には柔軟性低下
同学会は7月下旬から8月中旬にかけて、医療機関を訪れた1万2000人あまりにコロナによる外出自粛の影響を調査した。小・中・高校生817人が回答。そのうち「体力がなくなった」と回答したのは、小学生で35.3%、中学生で44.1%、高校生で55.1%に上った。


当記事は、AERA dot.の提供記事です
痛い部位を尋ねたところ、最も多い部位は小学生が足・足関節で4割超、中学生と高校生は首・腰で3割を超えた。中学生は足・足関節も3割弱あった。

調査を担当した同学会の二階堂元重理事はこう分析する。

「小学生から中学生にかけての成長期は、骨が急速に伸びることで周りの筋肉や腱(けん)はつねに強い緊張状態にあり、そのために身体の柔軟性が低下しています。長期休校による運動不足の後、急に運動量が増えたことで、通常では考えられない事故が起きています。中高生に肩こりや腰痛が多いのは、悪い姿勢で長時間、スマホやゲームに熱中することも原因の1つと考えています」

ケガを防止するためには、運動前後にとくに手首・足首、肩甲骨・股関節の入念なストレッチを行うことと、よい姿勢を身に付けることが必要だという。立ち姿勢はかかと、尻、背中、頭が全部壁につけられるようにし、座っているときはすねと太もも、太ももと背骨が直角になるのが理想だ。

また、先の調査で「体重が増加した」と回答したのは、小学生で36.9%、中学生で37.4%、高校生で34.9%もいた。

埼玉県在住の男性(40)の小学3年の息子は今年3月から2カ月半で6キロ増え、38キロになった。「やばい」と思ってネットで成長曲線を調べると、身長は標準よりやや高いぐらいだが、体重はカーブの上にはみ出していた。

もともと太りやすいので水泳教室に通わせていたが、3月から3カ月間休みになって運動の機会がなくなってしまった。さらに休校中は間食も増えた。

「緊急事態だから、ほかに楽しみがないんだし、と目をつぶってきたが、これだけ体重が増えると不安になる」(男性)

小児肥満に詳しい獨協医科大学特任教授の有阪治医師によると、子どもは毎日成長しているので、体重が何キロ増えたら異常なのかを判断するのは難しいが、年齢と平均体重の関係を示した成長曲線図に照らし合わせて、体重増加が平均的カーブから外れた場合は気をつけたほうがいいという。

子どもの運動量が減ることで肥満が増えることは、原発事故後に外遊びができなくなった福島県で報告されている。また、ストレスにより甘いものや脂肪分の多いものを欲しがるようになることや、間食の頻度が増すというデータは世界中で確認されている。外出自粛やコロナによるストレスが子どもの食行動に変化を起こしているとも考えられる。

外出自粛や部活動などの制限による運動不足で、子どもたちの体にも異変が現れてきている。学校再開後、跳び箱に手をついて両手首を骨折したり、縄跳びを跳んだら足首を骨折したり、といった事故も起きているという。日本臨床整形外科学会の新井貞男理事長はこう指摘する。

「2018年度のスポーツ庁の調査でも児童生徒の体力・運動能力の低下が指摘され、体がかたい、バランスが悪いなどの運動器の機能異常である『子どもロコモ』の子どもが増えています。今回の長期間の休校がさらに運動機能を低下させ、運動を再開した際にケガをしやすくなる状況をつくっていると考えられます」

 

大川剛史