子どもたちの「おもしろそう!」「やってみたい!」を引き出す プログラミングだからこそできる子どもに活動を「委ねる」こと

子供は外遊びが勉強になる。
その中の成功体験や壁にぶつかり成長できる。

現代では、プログラミングが話題


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■プログラミングは現代の砂場遊び
前回、「プログラミングは現代の砂場遊び!」だと訴えました。前原小でプログラミングの授業実践を重ねていけばいくほど、その活動が砂場遊びに興じる子どもたちの姿と重なって見えてきたのです。

子どもたちは砂場遊びが大好きです。砂場をさまざまな世界に見立て、そこに自分の思いを表現しようとします。思いや願いのある活動は、子どもたちを夢中にします。前原小のプログラミングも子どもたちの「おもしろそう!」「やってみたい!」という気持ちを沸き立たせることから、活動に入っていきました。

■“砂場遊び”への誘い
画像: “砂場遊び”への誘い
低学年では、Lチカの素敵な点滅やカムロボを縦横無尽に走らせるプログラムを教えることで、導入を図りました。

中学年では、距離(赤外線)センサーの制御プログラムで子どもたちを驚かせました。センサー制御プログラムによって障害物である手を検知したロボットが止まったり、右に回ったりする様子を見て、子どもたちは「ハンドパワーだ!」と言って興奮していたことを今でも鮮明に覚えています。

高学年のプログラミングは、ドローンを飛ばしてみせるだけで多くの子どもたちは興味を抱きましたし、サイバー空間の導入では、GOTOというコマンドを追加するプログラムで子どもたちの「やってみたい!」という気持ちを沸き立たせてきました。

各学年で行うプログラミング授業の一番初めの時間は、その単元で学ぶ知識と技能を使った指導者によるパフォーマンスで、子どもたちの興味と関心をひこうと工夫しました。そして多くの子どもたちは、そのパフォーマンスを自分でも再現したくなって、説明(Briefing)に聞き入ります。

このとき、そのパフォーマンスを再現する知識と技能を順番を追ってていねいに解説し、子どもたちに理解させることはしません。基本的な操作方法とプログラム作成の考え方を伝えるだけです。

■『どうしたの。何か困ってる?』周りが助けてあげることの大切さ
『どうしたの。何か困ってる?』周りが助けてあげることの大切さ
全員ではありません。先のようなパフォーマンスに、興味を示さない子どもがいるのも事実です。

でもその子の内実を探っていけば、パフォーマンスにある楽しさとかおもしろさを拒否はしていないのです。その日の体調が不良だったり、そこに向かう自信がなかったり、これまでの生活や学習体験によってその子自身が育んできた自己効力感(Self-efficacy)の度合いによって、反応が低調だったりするのです。

ですから、一人一人に即してその状況を理解し、活動との関わり方を一緒に考えていきます。このとき指導者は、その年齢によらずメンターとしての役割を期待されているのです。

「やってごらん!」と活動を促せば、一人で取り組む子どももいれば、友だちと相談しながら進める子どもも出てきます。このとき、何をどうやってよいかわからずに、固まってしまう子もいます。そんな子どもがいることを前提に、活動に入る前には必ず、援助要請と能動的援助の大切さを話します。

「わからなくて、困ったときは、『これどうやるの?』って教えてもらって!」

「そう声をかけられたとき、『お前、そんなこともわかんないの?』なんて、傷つくようなことを言う人はこの学級にはいないよね」

「『こうやるんだよ』と教えてあげれば、『ありがとう!』ってお礼が返ってきて、お互に温かな気持ちになれるよ」

また誰か困ってそうな人がいたら、

「『どうしたの。何か困ってる?』って声をかけて」

「こういう声かけを『能動的援助』って言って、『教えて!』と言う援助要請と合わせてとっても大切な力なんだ。そしてこの二つが自然とできる学級はとっても雰囲気がよくなって、一緒に学ぶことが楽しくなるよ」

低学年からこのような関わりを積み上げていくことで、子どもたちの関係性はより豊かなものになっていきます。そして砂場遊びとしてのプログラミング活動を見守っていれば、このような場面が自然と創り出されていることに気づきます。その場面をすかさず取り上げ、価値付けることこそ、指導者の大事な役割なのです。

■プログラミング授業は結果ではなく過程が大事

子どもたちは、指導者から援助要請や能動的援助の話を聞けば、それを行動で示すようになります。しかし他教科の学習活動では、なかなかそうはならない現実があります。

この違いの原因は、教科学習のねらいが知識と技能の習得にウエイトがおかれ、目標として設定された基準に照らして、その習得状況を評価されることにあるからです。達成すべき目標が設定されていれば、当然それを効果効率的にクリアできることがよいことであって、目標と自分の現状との乖離をさらけ出すような行為(わからないから教えてと言う援助要請)は恥ずかしいことなのです。

砂場遊びとしてのプログラミングの授業は、試行錯誤(Tinkering)の活動によって「粘り強く学びに向かうことの大切さ」や「多様性の尊重」を、効果効率的な知識と技能の習得よりも重視します。だから恥ずかしがることなく子どもたちはお互いに援助要請、能動的援助できるのです。

本当の学びは、子どもたちに活動を「委ねる」ことからはじまる
子どもたちが、「おもしろそう!」「やってみたい!」となれば、グダグダした説明(Briefing)は要りません。「やってごらん」と活動を促すだけです。

砂場遊びを教える大人はいません。大人は子どもの安全を見守り、活動を委ねます。そしてさまざまな気づきに共感的理解を示すことで、彼らを笑顔にさせ、さらなる意欲を醸成できるのです。

 

直永亮明