働きながら学ぶ その場の活力の高さ

働きながら学ぶ短大の記事より。
その短大は、既に社会に出ている人たちが、技術知識や経営への欠乏を元にその力を養う場所だった。設立は先人の危機感を突破し業界の質を保つ実践場であり、多くの現実技・場課題を元に「参加」こそ最大の「学習」としている。

生産課題への欠乏が前提にあるのは勿論だが、活力の高さは「実践」と「先人の技」も大きく作用しているように思う。

 

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JR池袋駅から徒歩7分。東京建築カレッジがそこにある。
建設産業で働く若者たちが木造建築の技術・技能を学ぶ、職業能力開発短期大学校である。

この学校の特徴は「働きながら学ぶ」というところにある。
日頃は建設関係の事業所に所属して現場で働き、金土の週に2日(あるいは3日)、2年間学校に通う。
カレッジを設立したのは、東京土建一般労働組合である。

建設産業の労働組合が大学をつくることを不思議に思う人がいるかもしれない。
しかし欧米を見れば、産業の担い手を労働組合が育てている国は珍しくない。
技術者を養成し技能を正しく評価するシステムが、日本ではまだまだ遅れているのである。
産業全体で養成していかない限り、遠からず優れた職人は姿を消し、千年の昔から伝わってきた先人の知恵と技は失われてしまうだろう。

カレッジの開校は、こうした状況を打破するための一つの提案であり、試みであった。
ドイツのマイスター制度を参考にしながら、木の良さを生かす日本の伝統技術や構法、自然環境に調和した住まいづくりを教える。

木造建築の可能性を追求し、新しい時代の建築スペシャリストとしての職業能力を育てている。

 
 建築を網羅したカリキュラム
カリキュラムは専門実技科目、専門学科目、専門総合科目の三つの柱から組み立てられ、2年間のカリキュラムをこなし卒業すると2級建築士の受験資格を得られる。

実技・学科は、施工系/計画系/構造系/情報系の科目に分かれている。
すべてを必修として学びながら、建築の過程全体を見通し、住まい手の要望に応える構想(計画)を提案でき、また具体化(表現)できる技術技能者の養成を目指している。

学べる内容は
・鉋や鑿を使ったり、墨つぼを使った墨付け、釿(ちょうな)や槍鉋(やりがんな)などまで使った技術指導
・建築製図の基本から建築デザイン、プレゼンテーション技法の指導
・建築CADソフトやパースの指導
さらには木材やコンクリート、鉄筋の強度を検証する建築材料実験など建築材料の特性の把握まで指導の範囲は多岐に渡る。

1年秋から冬にかけて、全員で役割分担をし自分達で加工した木材で、実際に木造2階建ての建方まで行い、2年次にこの建てた木造2階建てを解体することから始まるというサイクルを行っている。

学校の集合訓練だけでなく、各自の現場課題による訓練(OJT)もカレッジの学習の大きな領域。
カレッジでは「参加」こそ最大の「学習」としている。
先生方はバリバリの職人さんや親方、技術者の方々で、この学校の卒業生の方も指導にあたっている。

第一線の職人・親方・棟梁、技術者・教育者が先頭に立って、建築の産業の未来を担う若者を育てているのもこの学校の特徴である。


 驚かされる参加者の意識の高さ
「みんな同じ目標に向かっているから頑張れるというか、なんだろう、なんか仲間なんすよね!」

私が見学に行った際、休憩中にお話を聞かせて頂いた20代の生徒さんが満面の笑みで答えた学校の良いところだ。
彼はさらに続けた。

「月~木までは仕事を頑張って、どんなに仕事が辛くても、金土のこの学校に来ることが楽しみで、仕事も頑張れるんすよね」

休憩中でも快くインタビューに応じてくれ、その笑顔から溢れるばかりの充実感が感じ取れた。

 
この休憩中に他の生徒さんに目をやると、2種類の木材を持ちながら話し合っている方、鉋の刃の研ぎ方を先生に教えてもらっている方、削ったほぞ穴について先生と話をしている方、釿(ちょうな)で削った木材の表面を触りながら生徒さん同士で話し合っている方。

和気藹々という雰囲気の中に見えた、生徒さんとこの学校の卒業生である先生方の“真剣さ”と“意識の高さ”にはただただ感心するだけである。

新築ではプレカットが主流となっているが、リフォームにおいては高い技術が求められている。
昨今、空き家問題が取り上げられ、リフォーム受注も増えていくと予想されるこの業界において、ここまでの技術・知識、そして“意識”を育ててくれる東京建築カレッジは、若手の育成だけでなく、工務店様の『新たな強み作り』に貢献する選択肢の一つとなるのではないか。

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(匿名希望)